今週の指標 No.730 目次   前へ   次へ 2006年6月19日

近年の景気拡張局面との比較でみる地域の”ばらつき”

<ポイント>

   各地域の経済指標は総じて回復基調を映すなか、地域間における“ばらつき”は縮小してきているのであろうか。今回、“ばらつき”が地域間の“平均値からの乖離”(=変動係数(注1))で表わされるとし、複数の指標により、今回の回復局面における地域間(注2)の“ばらつき”と近年の景気拡張局面におけるデータとを比較しつつ、現状を確認した。
  1. 有効求人倍率の変動係数は、今回の局面では2003年第2四半期まで拡大していたが、その後は横ばい傾向に推移している。これを過去の局面と比較すると、今回の“ばらつき”が前回の局面と同水準であり、バブル期以降では比較的小さいことが分かる(図1)。
    完全失業率でみると、“ばらつき”は今回、横ばい傾向に推移している。過去の局面と比較すると“ばらつき”はバブル期の局面より小さいものの前回及び前々回の局面並みの水準となっているのが分かる(図2)。

  2. 百貨店販売額でみると、今回の局面では、当初拡大した“ばらつき”が1年(4期)目頃から低下し、2年目辺りから横ばい傾向に推移している。過去の局面と比較すると、“ばらつき”に大きな差はないことが分かる(図3)。

  3. 鉱工業生産指数(IIP)でみると、2003年第2四半期(6期目)頃から拡大傾向にある。過去の局面と比較すると05年に入り今回の“ばらつき”が上回っている(図4)。

  4. 他方、消費者側(消費者態度指数)の景況感をみると、当初1年(4期)目頃まで“ばらつき”が拡大傾向にあったものが、その後、振れを伴いつつも縮小傾向に推移しているのが分かる。過去の局面と比較すると、今回の局面の“ばらつき”は若干大きく見えるものの、他の指標と比べ、その水準自体は低く、足元では前回及び前々回の局面並みとなっている(図5)。
    企業側(中小企業景況調査の景況判断DI)の景況感をみると、今回の“ばらつき”は、振れを伴いながら、やや拡大傾向にある。前々回(注3)の局面と比較すると、同係数の変化方向には違いがあるものの、その水準は2年(8期)目頃から近づいている(図6)。
    景気ウォッチャー調査で総合的な景況感をみると、過去との比較ができないものの、直近では全地域で横ばいを示す50を超えており、DIの“ばらつき”は、ほぼ横ばい傾向で推移していることが分かる(図7)。
   以上のとおり、バブル期以降の20年ほどでみた場合、指標によって“ばらつき”の程度は様々であり、一概に大きいとも小さいとも言えない。ただし、このところ生産面の“ばらつき”が拡大していることや“ばらつき”が横ばい傾向にある失業率についても未だ5%を超える地域が存在することなどには留意する必要がある。

図1. 近年の景気拡張期における地域間の”ばらつき”の推移(有効求人倍率の変動係数) 図2. 完全失業率(季調値)の変動係数
図3. 百貨店販売額(全店、前年比)の変動係数 図4. IIP(季調値)の変動係数
図5. 消費者態度指数(季調値)の変動係数 図6. 中小企業景況調査-景況判断DIの変動係数
図7. 景気ウォッチャー調査-現状判断DIの変動係数

注1) 変動係数(t期) = 地域間の標準偏差(t期) / 地域間の平均値(t期)

注2) 適用した地域区分は、以下のとおり。
  (1) 北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄  :有効求人倍率、景気ウォッチャー調査
  (2) 北海道、東北、北関東、南関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄  :完全失業率
  (2) 北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州    :鉱工業生産指数
  (3) 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄    :百貨店販売額(1999年第3期分以降は沖縄のデータ無し)
  (4) 北海道・東北、関東、北陸・甲信越、東海、近畿、中国・四国、九州・沖縄  :消費者態度紙数
  (5) 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄    :中小企業景況調査

注3)中小企業景況調査のDIデータ開始時点は1994年第2期につき、バブル景気の拡張期に該当するデータ無し。

(備考)データ出所
    「地域別有効求人倍率」(厚生労働省「一般職業紹介状況」によりブロック別季節調整値を試算)、総務省「労働力調査」(ブロック別季節調整値を試算)、「商業販売額統計」(経済産業省)、「地域別鉱工業生産指数」(各経済産業局)、「中小企業景況調査」(中小企業基盤整備機構)、「景気ウォッチャー調査」(内閣府)


担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 政策企画専門官 三輪 篤生 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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