今週の指標 No.724 目次   前へ   次へ 2006年5月29日

原油高騰下におけるインドネシア経済

<ポイント>

  1. 原油の純輸入国となっているインドネシア経済は、原油価格高騰が進む中で、燃料補助金拠出によって、05年初までは消費者物価は安定していた(図1)。しかし、一方で財政負担が拡大し、財政赤字がさらに拡大するとの見方が高まった。

  2. 8月には、(1)燃料補助金による財政悪化懸念及び(2)4月末以降原油輸入のために外貨準備を取り崩したことによる外貨準備高の減少等により、インドネシア・ルピアが急落した(図2)。このため政府は、8月末に燃料補助金削減を決定した。この結果、ルピアは増価に転じたものの、消費者物価は大幅に上昇した。

  3. 物価上昇に対応し、インドネシア中央銀行は利上げを開始し、05年8月から12月までのわずか5か月で計6回4.25%ポイントの大幅な引上げを実施した(図3)。これにより06年3月に消費者物価上昇率(総合)は落ち着きをみせ始め、4月には前年同月比15.4%と依然として2桁台であるものの、伸び率は鈍化した。一方、05年後半以降、投資、民間消費等の内需の不振から、05年10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比4.9%、06年1-3月期は同4.6%と鈍化している(図4)。

  4. こうした状況を踏まえ、中央銀行は5月9日、政策金利を0.25%ポイント引き下げた。インフレ懸念や金利引上げ観測が一時期よりは遠のいたことから、景気は徐々に回復へ向かうとの見方もあるものの、依然として原油価格は高水準にあり、政府の06年見通し(05年12月31日付、6.2%)の達成は困難との見方が多い。

    ※「燃料補助金制度」とは、原油価格の変動による市民生活への影響を抑えるために政府が燃料補助金を拠出し石油製品の国内価格を低水準に維持するというもので、インドネシアのほか、いくつかのアジアの国々でも採用されている制度である。インドネシア政府が05年8月上旬に発表した補正予算では、燃料補助金支出額は当初予算の19兆ルピア(GDP比約0.7%)から76.5兆ルピア(GDP比約2.8%)へと大幅増額されていた。

図1:消費者物価
図2:インドネシア・ルピアと外貨準備高
図3:政策金利(BIレート)
図4:実質GDP

(備考)
インドネシア財務省、ブルームバーグ、CEICより作成。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   野澤 佳代  直通:03-3581-0974
   勝間田 真由子  直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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