今週の指標 No.722 目次   前へ   次へ 2006年5月29日

キャッシュフローからみる企業行動の変化

<ポイント>

  1. 財務省「法人企業統計年報」をもとに、キャッシュフロー計算書を簡易的に試算すると、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)が増加傾向で推移する一方で、投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)は90年代初めの半分程度に留まり、財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)も98年度以降マイナスが続いている(図1)。
  2. 営業CFは製造業に比べ非製造業で増加しており、非製造業のキャッシュフローマージンは大幅に上昇している(図2)。企業収益の改善に伴い営業利益率も上昇しているものの、キャッシュフローマージンが大きく増加し、92年度以降は営業利益率を上回っている。売上債権や在庫の圧縮を進め、キャッシュフロー創出の効率化が図られている。
  3. また、80年代までの非製造業は、旺盛な投資に対応して、営業CFを上回る資金を財務活動から調達してきたが、財務CFは98年度以降一貫してマイナスとなっており、投資を抑制する中で、有利子負債の削減を進め、財務体質の改善を進めてきている(図3)。
  4. このように、営業CFの増加に比べ、投資CFが抑制傾向であることから、フリーキャッシュフローは99年度以降プラスが続いている(図4)。一方で、投資CFが03年度以降増加に転じたことから、一貫して低下してきた投資性向は特に製造業において下げ止まってきている。また、内閣府「平成17年度企業行動アンケート調査」によれば、利益や調達資金の使途として、設備投資の重要度が高く、有利子負債圧縮の重要度が低下している(図5)。営業CFの増加を背景に、企業は投資スタンスを積極化させてきていることがうかがえる。

図1 キャッシュフローの推移(全産業)
図2 キャッシュフローマージンと営業利益率
図3 業種別キャッシュフローの推移
図4 フリーキャッシュフローと投資性向
図5 重要度の高い利益及び調達資金の使途(全産業)
(備考)

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付  岸野 崇 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ   次へ