今週の指標 No.721 目次  前へ  次へ 2006年5月22日

オイルマネーの動向について

<ポイント>

  1. 原油価格の上昇に伴い、産油国の原油輸出額は増加している。特に世界の原油輸出の約半分のシェアを占めるOPEC諸国の原油輸出額をみると(図1)、03年頃から急速に増加しており、03年から05年の2年間で約2.4倍の伸びとなる見通しである。この結果、OPEC諸国の経常収支黒字は拡大している。
     
  2. 拡大した経常黒字は、主に証券投資の形で先進国の金融市場に還流しているとみられる。この還流資金を一般にオイルマネーと呼称するが、代表的な産油国であるサウジアラビアの資本収支のうち証券投資の収支をみると、経常黒字の拡大に伴って、足元では大幅な投資超過になっており、オイルマネーの存在が確認できる(図2)。
     
  3. オイルマネーは英国を中心とした欧州の金融機関を経由して投資されることが多いと言われ(注)金融市場におけるオイルマネーの実体を捉えることは容易ではない。しかし、米国に対する証券投資の動向をみると、全体に投資額は増加しており、中でも英国を含む欧州からの投資は、05年には全体の約50%を占めるようになっている(図3)。
     
    (注)今年3月公表のBIS(国際決済銀行)四半期レポートによると、OPEC諸国によるBIS加盟国銀行への預金の約25%が英国、約20%が欧州の銀行に対するものとされている。

  4. また、今年4月に公表された05年のECB(欧州中央銀行)年次報告においては、OPEC諸国の輸入増 (図4)が、EU域内の企業活動を活性化し、個人消費を下支えしたと分析している。実際に輸出額の増加によって、05年(第3四半期まで) のEU域外輸出に占めるOPEC諸国地域の割合は8.2%と、2000年の6.4%と比べ上昇し、輸出の伸びを牽引している。この事実は、長期に亘る原油価格の上昇が、金融面だけでなく実態経済面においても影響を及ぼしていることを示唆している。
     
  5. EIA(米エネルギー省)によると2006年の原油価格(WTI先物、1バレル)は67.7ドル、2007年は67.9ドルと、引き続き高水準での推移が見込まれており、オイルマネーの規模は拡大する可能性が高い。一方でオイルマネーの向かう先については、足元でUAE、カタールなどの中銀総裁により、ドル資産から他通貨資産へ振り向ける可能性が示唆されるなど、ドル離れの可能性もある。オイルマネーが 今後の世界経済に及ぼす影響について、一層の注意が必要である。


OPEC諸国の原油輸出額 サウジアラビアの経常収支と証券投資収支。 対米証券投資 OPEC諸国の輸入額
(備考)
出所:OPEC、EIA、IFS、米商務省、ECB、DOT、BIS

担当:海外担当参事官付

   田口 儀人  直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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