今週の指標No.714 目次   前へ  次へ 2006年4月10日

中国:元高加速が進む人民元

ポイント

  1.  2月以降、元高が加速している。人民元は2005年7月21日の制度改革とともに2%切り上げた後緩やかな元高基調で推移していたが、春節(旧正月)休暇期間(1/29〜2/4)明けからその増価ペースが速まった。4月5日には1ドル=8.0073と切上げ後の最高値を更新し、切上げ前に比し3.25%の増価となった(図1)。春節後の前日比の平均変化率をみると0.02%と、切上げ後から05年末までの増価ペースに比し約5倍になっている(図2)。
     
  2. 市場ではこの動きの背景に、4月の胡錦涛国家主席の訪米等があるとみている。しかし、中国当局は訪米とは関係がなく市場需給によるものとしているほか、3月14日の全人代(*1)後の記者会見で温家宝首相が人民元の再切上げを否定する発言を行った以降、相場形成の柔軟性を拡大する方針を相次いで強調している。このため、人民元相場を再調整するのではなく、現行制度(*2)の枠内である1日の変動幅(対ドルで基準値の上下0.3%)を有効活用し、増価ペースを速めているのではないかとみられている。

  3. 元/ドルレート終値(*3)の動きをみると、変動幅に多少の拡大傾向がみられるものの、変動幅の上限にも下限にも達したことはない(図3)。長期的にみても、切上げ後の増価は1.3%程度と小幅との声もあり、人民元の制度柔軟化に対し更に圧力が高まる可能性もある。

  4. (*注1)
        全国人民代表大会(全人代)とは、日本の国会に相当。年1回開催。

    (*注2)
        06年1月3日、人民銀行(中銀)は、銀行間直物外為市場における相対取引制度を導入し、同時に基準値の決定方法も変更した。本改革前は前日終値が基準値となっていたが、本改革より中国外貨取引センターが当日朝に決定するレートとなった。(センターが、マーケットメーカー(値付け業者として認可された金融機関)に対して取引開始前に取引レートを照会し、取引量に応じて加重平均等を行い基準値を決定している。但し、単純な加重平均でなく当局の裁量の余地があるとの見方が多い。)

    (*注3)
        センター終値(現地15:30)。

図

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