今週の指標 No.711 目次   前へ   次へ 2006年4月3日

失業理由からみた失業構造の変容

<ポイント>

  1. 我が国の失業率は平成15年以降、低下傾向にあるが(図1)、過去と比べ今回の局面において失業構造には何らかの変化がおきたのであろうか。ここでは失業者の失業理由からみた失業構造の変容を探ることとする。
  2. まず、全年齢の失業者の仕事につけない理由をみると、「年齢があわない」と「希望する仕事がない」がその多くを占め、また、その推移をみると、平成11年から平成14年は上昇し、景気回復期の平成14年から平成17年は低下している(図2)。
  3. 次に、失業者を年齢階層別に分けてみると、15〜34歳では「希望する仕事がない」は近年低下しているものの、平成11年と比べ高水準となっている(図3)。一方、35歳以上においても「希望する仕事がない」は同じような動きをしているが、15〜34歳と比べ目立って増加してはいない(図4)。
  4. 以上を踏まえると、若年を中心に「希望する仕事がない」といった「条件にこだわらないが仕事がない」に比べて構造的な要因とみられる失業が高まり、平成11年と比較して失業構造が変容していることが伺える。
  5. この変容の原因の一つとして、若年失業者を中心に正規雇用志向が高まったため、「希望する仕事がない」と回答した者が増加した可能性が考えられる。ところが、若年層における失業者が探している雇用形態の内訳の推移をみると、正規雇用を希望する割合は平成11年と比べ低下していることから、若年層は雇用形態よりも、むしろ仕事の内容への「こだわり」といった要因により「希望する仕事がない」と回答する者が増加しているのではないかといった可能性も考えられる(図5)。
  6. このように失業構造の変容の背景には、若年層を中心として、雇用形態のミスマッチというよりも、仕事の内容のミスマッチが拡大した可能性が考えられる。今後、さらに詳細に分析するためにも、ミスマッチが産業間・職種間の労働需給の変化により拡大したのか、あるいは若年層が仕事の「魅力」を感じられなくなったために拡大したのか、といった観点から、よりミクロなレベルで的確に把握することが必要となっている。

図1と図2
図3と図4
図5
備考

担当:参事官(経済財政分析総括担当)付 井上 裕介 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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