今週の指標 No.709 目次   前へ  次へ 2006年3月27日

今回の景気回復局面における在庫循環の動きについて

<ポイント>

  1. 2002年初めからの景気回復局面において、在庫循環図の動きは、04年までは概ね循環的に動いていたが、それ以降はやや変則的な動きとなってきている(図1)。
  2. 1990年からの出荷・在庫ギャップからみても、鉱工業全体の動きは、特に05年以降一進一退を繰返しており、きれいな波を描いていない。これを加工業種と素材業種といった業種特性別でみると、05年以降両者の動きが一致していないことがわかる(図2)。これは、情報化関連分野の在庫調整の終了と相俟って、景気の「踊り場」的局面が回復していく過程とほぼ重なっている。
  3. 加工業種の在庫循環図をみると、05年7−9月期以降は、45度線左上の回復局面まで戻ってきており※1、また輸送機械を除いて比較的ウェイトが高い一般機械および電子部品・デバイスでみても、情報化関連分野の在庫調整の終了などと相俟って10−12月期には出荷増が在庫増を上回る局面へ回復している(図3)。
    ※1 10−12月期は45度線を越えたところに位置しているが、輸送機械(自動車)の船待ち要因による在庫増が影響しているものとみられ、調整が必要な局面ではないと考えられる。
  4. 一方、素材業種では、05年から45度線右下の調整局面に入っており、ウェイトの高い鉄鋼、窯業・土石製品および化学でも、ほぼ同じように推移している ※2 (図4)。
    ※2 特に鉄鋼で比較的付加価値の低い一部の汎用品において中国産品を中心に供給過剰となったことが影響し在庫調整に入っている。
  5. このように、在庫循環において主に05年に入ってから業種特性別で推移している局面が違っていることなどから、鉱工業全体の動きが変則的になっていることがわかる。そのため、鉱工業全体の在庫循環をみていく上で、業種特性別やウェイトの高い業種毎の動きなども合わせて見ていく必要がある(表5)。

鉱工業全体の在庫循環図
出荷・在庫ギャップ
加工業種の在庫循環図
素材業種の在庫循環図
業種別ウェイト(出荷、在庫)

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 有馬 基之 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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