今週の指標No.696 目次   前へ 次へ 2006年2月6日

英国:財政赤字の拡大について

ポイント

  1.  EU経済財務相理事会(以下ECOFIN)は1月24日、英国に対し遅くとも2006年度末(*)までに、安定成長協定に定めるところの(**)「過剰財政赤字」を対GDP比3%以下に是正するよう勧告した。英国の財政赤字対GDP比は03年以降3%を超過している。欧州委員会は05年度以降も超過すると予測しており、財政赤字の拡大は一時的なものではないと指摘している(図1)。
  2.  英国は97年のブレア政権誕生後、EUによる財政ルールとは別に「ゴールデン・ルール」と「サスティナビリティ・ルール」(***)という独自の財政ルールを導入し、財政収支の削減に成功してきた。その結果、政府債務残高は安定成長協定で定められた規定(債務残高GDP比60%)や「サスティナビリティ・ルール」の目標を下回っている(図2)。しかし、近年の教育、医療、社会保障の分野を中心とした財政支出の拡大により増加する傾向にある(図3)。
  3.  ECOFINによる勧告を受けて、英国は半年以内に「過剰財政赤字」の是正施策を提出するよう求められているが、英国は05年12月に公表したプレバジェットレポートにおいて、財政赤字対GDP比は05年度以降3%以下に抑制できるとしている。
(*)英国の財政年度は4月から翌年3月まで。
(**)英国はユーロに加盟していないため、安定成長協定に基づく制裁を受けることはない。しかし、それ以外については同等の手続きを受ける(表5)。
(***)ゴールデン・ルール:政府の借入は投資目的に限り行い、景気循環を通じた国債発行額は純投資額を超えない。
   サスティナビリティ・ルール:政府の純債務残高を対GDP比40%以下に抑制する。

図1:財政収支対GDP比と実質GDP 図2:政府債務残高の対GDP比

図3:財政支出の伸び率と項目別寄与度 表4:過剰財政赤字是正手続きの流れ

(備考)英国財務省、英国統計局、欧州委員会より作成。

担当:海外担当参事官付

参事官補佐 野澤 郁代 直通 03-3581-0974  
      山村 一夫 直通 03-3581-9537 

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