今週の指標 No.690 目次   前へ 次へ 2006年1月10日

建設業労働者は2005年半ば以降に不足が顕在化

<ポイント>

  1. 建設労働の状況をみると、建設業の就業者数は減少が続いている(図1)。その一方、建設業の新規求人数は2003年後半以降、前年を上回る状態が続いているが、2005年後半には特に増加率が高くなっている(図2)。
  2. 建設投資の動向を建設総合統計(出来高)でみると、2005年後半は民間建設の回復が堅調であり、公共事業の減少幅が縮小していることから前年比で増加に転じている(図3)。しかし、2005年前半までは、民間建設が景気回復を受けて2003年後半に増加に転じているものの、公共事業の削減による寄与が大きいため全体では減少が続いてきた。建設業就業者数の減少は、建設投資が減少してきたことによる影響が主因であると考えられる。
  3. 建設労働の需給状況をみると、2005年後半には不足率の上昇が顕著になっている(図4)。これと同時に新規求人数の伸びが顕著になっていることから、ミスマッチが引き起こされている可能性が考えられる。建設労働不足率は、職種別では建築に係る型わく工や鉄筋工、地域別では関東、中部、北海道での上昇が目立つ。この要因の一つとして、都市部での大規模マンションの建設が多いこと(今週の指標No.658を参照)などから、型わく工や鉄筋工の需要が増加している可能性が考えられる。
  4. 建設業労働者が不足しているなか、建設業就業者の年齢構成は全産業と比較して、20歳代前半の比率が低く、50歳代の比率が高いなどやや高齢に偏っている様子がみられる(図5)。今後、団塊世代の定年退職が見込まれるが、若年を中心として建設業労働者の増加による不足率の改善がみられないと、団塊世代の持つ建設技能を次世代に継承できるかどうかという問題が引き起こされる懸念がある。この観点からも、建設業の労働需給の問題を軽視できないものと考えられる。

図1.建設業就業者数 図2  建設業の新規求人数
図3 建設総合統計(出来高)の伸びと民間・公共別の寄与
図4 建設労働者の不足率
図5 建設業就業者、全産業就業者の年齢構成

(備考)
1.図1、図5は総務省「労働力調査」、図2は厚生労働省「職業安定業務統計」、図3は国土交通省「建設総合統計」、図4は国土交通省「建設労働需給調査」によりそれぞれ作成。
2.図2の新規求人数は、新規学卒およびパートタイムを除く。
3.図3は建設総合統計(出来高)の前年比および、前年比を民間・公共それぞれの寄与度に分解したもの。
4.図4の不足率={(確保したかったが出来なかった労働者数)−(確保したが過剰となった労働者数)}/{(確保している労働者数)+(確保したかったができなかった労働者数)}×100
不足率がプラスならば不足、マイナスならば過剰であることを示している。6職種計とは、型わく工(土木)、型わく工(建築)、左官、とび工、鉄筋工(土木)、鉄筋工(建築)の合計。
5.図5は2005年11月時点において、各年齢層別の就業者数が(建設業、全産業それぞれの)全体の就業者数に占める割合を示したもの。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 植田 博信 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ 次へ