今週の指標 No.687 目次   前へ   次へ 2005年12月26日

増加に転じた生産能力

<ポイント>

  1. 鉱工業生産能力指数は、90年代以降、企業部門がバランスシート調整の過程において、設備投資抑制や遊休設備の除去を進めてきた為、98年以来前年同月比で減少が継続していたが、9月に小幅ながらプラスに転じ、10月でも増加傾向の継続が確認された。業種別に状況を見ると、04年に生産能力を増強した電子部品・デバイスに続いて、05年に入ってから一般機械や輸送機械も前年比プラスに転じている。(図1)。
  2. 稼働率から見ると、継続的に前年比を上回っている一般機械に加えて、前年比割れを続けていた電子部品・デバイスについても回復傾向にある(図2)。一方で、これまで前年比増を継続していた輸送機械が前年比割れに転じているが、日銀短観における設備過剰感D.I.では不足感が引き続き強い状況であり(図3)、若干の振れを伴いながらも高水準の稼働が続いていると解釈できよう。
  3. 今後も製造業の生産能力の増強が継続するか否かを予測する材料の一つとして、輸送機械等における主要な製造設備である金属工作機械の受注状況が挙げられる。受注内訳を見ると、国内生産能力増加に繋がる可能性の高い内需向け受注比率が上昇する傾向にある(図4)。また、前述の通り金属工作機械を含む一般機械産業の生産能力は増加しているにもかかわらず、受注残月数(=受注残額÷生産額)も依然6ヶ月を越える水準となっている点からも、現在の受注が相当高い水準にあることがうかがえる(図5)。
  4. その他にも、各種機関による05年度投資計画に関するアンケート結果等を踏まえると、年度内は生産能力上昇の傾向が継続すると思われる。 一方、年単位レベルで見ると、設備投資の伸びに対して先行性のある稼働率指数の前年比延び幅は、徐々にではあるが縮小傾向にある(図6)。生産能力増強については、これまでの増勢一途から、ストック水準を睨みながらの投資決定へと次第に軸足を移して行くであろう点には留意を要する。

生産能力指数の推移(業種別寄与度) 稼働率指数の推移(業種別寄与度)
生産・営業用設備D.I.の推移 金属工作機械受注額と内需比率
金属工作機械の受注残月数 稼働率指数と設備投資総合指数の推移

(備考)
  1. 経済産業省「鉱工業指数」「機械統計」、日本銀行「短観(2005年12月調査)」、日本工作機械工業会公表資料より作成。
  2. 生産能力指数、稼働率指数 及び設備投資総合指数は原数値の後方3ヶ月移動平均を使用。
  3. 図3は全規模。
  4. 図4の05年数値については、内需比率は1〜11月実績を使用し、12月受注額(仮値)については05年12月の前月比受注額伸び率が、04年11月→12月受注額伸び率と同様と見なした値を採用している。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 新屋 吉昭 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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