今週の指標 No.683 目次   前へ 次へ 2005年12月12日

低下しつつある金融資産の「ホームバイアス」

<ポイント>

  1. 海外資産と比較した国内資産への投資選好は「ホームバイアス」と呼ばれる。ここでは特に、流動性が高く「ホームバイアス」は比較的低いとされる金融資産について考える。
  2. 一国の金融資産の「ホームバイアス」を定量的に計測する指標として、“海外資産受容比率”(Foreign Asset Acceptance Ratio:FAAR)がある。たとえば株式について言えば、[一国の株式資産ポートフォリオに占める外国株式運用シェア]に対する、[株式の世界全体の市場規模に占める海外市場規模のシェア]に対する比で表される。この比率が低いほど、「ホームバイアス」は強く、100%のとき、「ホームバイアス」はないとされる。
  3. 我が国は「ホームバイアス」が比較的強い、と指摘されてきた。昨年3月、グリーンスパンFRB議長が、金融システムの透明性向上等によって「ホームバイアス」が世界的に低下している中、我が国の「ホームバイアス」の強さについて指摘した。そこで、各国の統計が揃う2003年時点における“海外資産受容比率”を試算すると、我が国は、総じて「ホームバイアス」が強いことがわかる。(図1)
  4. そこで、我が国について2001年以降の最近の状況をみるために、国内の統計も用いて“海外資産受容比率”を試算すると、最近では、国内投資家が株式や債券の金融資産ポートフォリオに占める外貨建て資産の割合を増やしていることなどにより、“海外資産受容比率”は上昇しており、株式投資・債券投資において我が国の「ホームバイアス」は徐々に低下しつつあることが伺える。(表2)
  5. フローベースでの対外証券投資(ネット)の最近の動向をみると、国内の低金利や金融機関の提供する金融商品の多様化等を背景に、個人投資家を中心とした投資信託経由の外貨建て証券投資が増加している。(図3)
  6. 国内投資信託(契約型公募)の資産運用における外貨建ての割合は、株式投信・債券投信について近年ともに上昇しており、特に債券投信では外貨建ての割合は5割以上に達している。(図4)このように、我が国の金融資産の国際分散投資は、今後も徐々に進んでいくことが見込まれる。

“海外資産受容比率”の比較 我が国の株式投資・債券投資における“海外資産受容比率”の推移
対外証券投資(ネット)の推移 国内投資信託(契約型公募)の資産運用における外貨建ての割合

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 高橋 慶子 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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