今週の指標 No.682 目次   前へ 次へ 2005年12月5日


  ドイツ:所得の低迷がもたらす消費の減少

<ポイント>

  1.   ドイツでは、2005年7〜9月期の実質GDP成長率が前期比年率2.5%となり、景気は企業部門を中心に緩やかに回復している。しかし、個人消費は同 ▲0.7%と、3四半期連続で減少し、05年以降も低迷が続いている(図1)。
  2.   消費が抑制されている背景には、所得の低迷という要因があると考えられる。03年以降第2期シュレーダー政権下で企業のリストラが進んだ中で労働市場の回 復が緩やかとなっていることに加え、原油高の影響(図2)を受けて実質家計所得は低迷しており、また、高失業率や原油高等を背景に消費者心理の低迷が続 き、家計の貯蓄率も高止まっている(図3)。住宅価格も安定しており、スペイン等のような資産効果も期待できない。
  3.   今後については、企業部門の回復による収益増が家計部門に向かえば、消費も持ち直しに向かうことが期待される。しかし、
    (1) 労働分配率は2002年の71%程度から足下では67%程度にまで低下したものの、雇用の持ち直しがパートタイム中心になっており、再び大きく上 昇する可能性は低いと考えられること
    (2) 原油高はピークからは落ち着いているものの、その影響は遅れて現れる可能性があること
    (3) 06年に実施予定の労働市場改革法で失業手当の給付期間が短縮されることや、メルケル新政権下で解雇保護法が緩和される(解雇自由な試用期間を6 か月から24か月に延長。)こと
    などから、消費回復はごく緩やかなものになると考えられる。ただし、07年1月からは主として財政赤字削減のため付加価値税(VAT)の税率が引き上げら れる(16%→19%)と見込まれることから、06年後半には耐久財等の駆け込み需要が見られる可能性はある。
     各機関でも、06年の成長率が05年より高まる一方で、消費の回復は緩やかなものにとどまると予想している(図4)。


図1:実質GDP 図2:消費者物価



図3:家計所得と家計貯蓄率 図4:各機関の見通し

(備考)ドイツ連邦統計庁、ドイツ連銀、ドイツ6大研究所、OECD、IMFより作成。 


担当:海外担当参事官付 和田 祐輝  直通 03-3581-0056  

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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