今週の指標 No.679 目次  前へ 次へ 2005年11月21日

中国の現状と「第11次5か年計画」策定の背景

<ポイント>

  1. 10月8日から11日に行われた中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議(五中全会)において、「第11次5か年計画 (2006〜2010年)」への建議が採択された。本計画は胡錦濤総書記就任後初の計画となり、「科学的発展観」に基づいた調和のとれた社会の構築を目指 していることが特徴となっている。持続的な成長を達成するため、これまでの成長優先型発展戦略や投資主導型成長からの転換を掲げ、その実現のために7つの 主要目標を挙げている。以下では本計画が策定された背景と、中国がおかれている現状を検証する。 

  2. 本計画の目標の1つに、エネルギー消費効率の改善が挙げられている。具体的にはGDP1単位あたりのエネルギー消費量を5年間で 20%削減するという目標が掲げられた。中国はこれまで投資の拡大によって経済成長が支えられてきたが(図1)、ここ数年、鉄鋼等の産業において生産能力 拡大のための過剰投資が行われてきたこともあり、エネルギーの利用効率が低下している(図2)。本計画では、持続可能な発展を実現するためにも、経済・社 会の発展に影響する環境問題を解決し、資源エネルギーの消費効率を高め、資源節約型社会の実現を目指すとしている。

  3. 都市と農村の問題については、今回「社会主義新農村の建設」という新たなスローガンが提起された。中国の「三農問題(農業・農 村・農民)」は2003年以降、中国共産党の最重要課題として積極的な支援・改革が行われつつあるが、本計画も農村部の発展を重視する方針が踏襲されてい る。農業部は所得が非常に低い水準にとどまっており、都市住民との所得格差が3倍以上に拡大している(図3)。また、近年は消費に対する都市部の寄与が大 きくなっているが、その伸びも鈍化傾向にあり、人口の約6割を占める農村部の所得引上げが、経済成長の牽引役を投資から消費へシフトさせ、バランスのとれ た成長を実現するためにも重要である。

  4. また、地域間における不均衡の是正も重点課題である。中国は国内の地域格差が大きく、各省の一人当たりGDPをみると、2004 年で最大の上海は5,000ドルを超えているが、最小の貴州省は500ドルにも満たない(図4)。本計画では、調和のとれた社会の建設を強化するために も、地域が協調し、相互に促進・補完しあう仕組みを確立することの重要性も指摘されている。



図1.名目GDPに占める投資の推移、図2.エネルギー弾性値
図3.都市と農村の所得格差、図4.上海と貴州の一人当たりGDP

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