今週の指標 No.676 目次   前へ 次へ 2005年11月14日

「国内回帰」とは何か?−企業アンケート調査にみる我が国製造業の最近の動向−

<ポイント>

  1. 我が国製造業の海外生産の比率は長期的に上昇傾向が続いている(図1)。一方で、我が国製造業の国内設備投資と海外設備投資の関係をみると、2003年度に国内設備投資は反転し、特に2004年度は大きく増加している(図2)。
  2. こうした動きの背景として、最近の我が国製造業の事業強化の方向性について、海外事業の強化姿勢に大きな変化がない中、国内事業についてはこの2年ほどで強化する姿勢が強まっている(図3)ことが挙げられる。こういった国内事業と海外事業の関係について各種アンケート調査結果を基に検証したい。
  3. 国内事業と海外事業の役割分担については、過去の調査では成熟製品は海外に移し先端技術製品や研究・開発機能は国内に留めるべきと多くの企業が考えていることを示唆する結果がある(図4)。最近の調査でも、国内では高付加価値品、海外では汎用品を生産するという傾向があり(図5)、国内と海外の役割分担が明確となっている。国内に立地を留めた動機をみても、利用している技術が高度で海外生産が難しいという理由が多い(図6)。
  4. 海外進出が国内生産に与える影響についても「影響はない」とする企業の割合が、2001年を底として高まる傾向にあり(図7)、海外進出による国内生産への影響は限定的であると考えられる。他方で、近年「国内回帰」ということが言われているが、海外の事業を縮小・撤退するとした企業のその後をみると、国内に事業を戻した企業の割合は小さく(図8)、海外で行っていた事業を日本に戻すという現象も一般的にみられるわけではない。
  5. 以上から、このところの「国内回帰」とも言われる国内事業強化の動きは、海外への事業を強化する姿勢が弱まり国内に向いたというよりは、むしろ国内と海外の役割分担から最適な国際分業体制を構築する中で、国内需要の盛り上りも加わり国内事業が再評価された動きと考えることが出来よう。

図1−海外生産比率の推移 図2−国内、海外の設備投資額の推移
図3−国内事業と海外事業の関係 図4−機能別の役割分担
図5−汎用品と高付加価値品の生産地域 図6−国内立地を選択した理由
図7−海外進出の国内生産への影響 図8−縮小・撤退企業のその後
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 中野 貴比呂 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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