今週の指標 No.660 目次   前へ 次へ 2005年9月26日


アメリカ:ハリケーン「カトリーナ」の影響は限定的

<ポイント>
  1. 大型のハリケーン「カトリーナ」が8月29日にメキシコ湾岸に上陸し、米国の石油精製能力の約10%、同地域の経済活動が一時的に停止する等、深刻な被害を与えたが(図1)、米国経済のファンダメンタルズは基本的に強く、これが急速な減速につながることはないと見られる。議会予算局(CBO)の見通しによると、第3、4四半期の経済成長率は各々最大でも1%ポイント程度落ち込むものの、2006年上半期には復興需要等の影響から回復するものとされている。

  2. 一時的な落ち込みが回避できない最大の理由は、メキシコ湾岸が米国の石油精製能力の約50%を占めるためである。「カトリーナ」の接近に伴い、原油価格は8月30日に過去最高の69.81ドル、ガソリン価格も一時、3ドル台に達した。しかし、その後、IEAによる石油備蓄の国際協調放出等もあり原油価格は63.11ドルまで低下するなど、IEA事務局長のマンディル氏も15日記者会見にてIEAの国際協調放出がカトリーナの悪影響に対しては、有効に機能していることを確認している(図2)。

  3. また、ミシシッピ、ルイジアナ両州のGDPは米国経済全体のわずか2%程度を占めるに過ぎない。同地域の経済活動が一時的に停止することによって、短期的には雇用の喪失、消費の減退等があるものの、米国経済全体へ与えるインパクトは小さいものと考えられる。当該地域においてもCBOの推計によれば、9月の雇用者数は15万人から多い場合では50万人ほど減少するものの、それ以降、復興需要が加速することによって、最終的には雇用は「カトリーナ」前よりも増加するとされている。

  4. 9月半ばに公表された一連の景気先行指数における将来指数は軒並み低下したものの(図3)、米国経済の先行きについては、政策当局者はかなり強気の見方を示している。これまでもスノー財務長官、バーナンキCEA委員長らが米国経済のファンダメンタルズは堅調であると主張して来ていたが、9月20日のFOMCでは、この見方をより裏付けたものとなった。声明においても現況についてカトリーナの被害に言及したものの、利上げを継続する姿勢を示した(図4)。



(図1)これまでの主なハリケーンによる被害額及び主要対策(図2) 原油価格(WTI先物、ガソリン価格の推移(図3)景況感指数の推移(図4)FFレート誘導目標水準

      担当:海外担当参事官付 是川 夕 直通 03-3581-9536
        海外担当参事官補佐 野澤 郁代 直通 03-3581-9536

      * 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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