今週の指標 No.656 目次   前へ 次へ 2005年9月12日

中国:対中直接投資に減速の動き

<ポイント>

  1. 2003年のSARSの影響を除けば2桁の成長を続けていた対中直接投資額は、2005年4月以降、前年同月比で2桁の減少が続いており(図1)、4‐6月期は、実行ベースで前年同期比12.1%減の151億7500万ドルとなった。これまで台湾、米国、香港等が主要な資本の出し手であったが、これらの国・地域からの投資が総じて減少している(表1)。
  2. 対中投資の減少要因としては、(1)労働力不足、及びそれに伴う賃金の上昇(表2)、(2)電力や水等インフラ不足、(3)投資や国内需要の一巡(図2)、(4)外資優遇税制撤廃の動き(表3)、(5)知的財産権保護など制度面の未整備、(6)政治不安、(7)為替リスクの拡大等があるとみられ、それらが複合的に作用していると考えられる。これらに加え、原油価格等原材料の高騰が進むなか、政府の価格統制等により、原材料価格の上昇分を製品価格に十分に転嫁しにくいこともあり、企業収益の伸びは2005年に入り大幅に低下している(図3)。
  3. こうしたなか、中国と比べ相対的にコストが低いとみられるべトナムなどへの直接投資が2004年以降加速しており(図4)、アジアにおいてもより多角的な投資戦略をとる企業が増えてきていることが窺える。ただし、契約ベースの金額は足もとで高い伸びを示していることから、こうした直接投資の減少傾向が続くか否かを見極めるには、もう少し時間を要するだろう。


図1.対中直接投資伸び率 表1.対中直接投資実行額の投資国別内訳 表2.華東地区における実質賃金指数 表3.企業所得税の統一について 図2.輸送機器及び電気機械の在庫伸び率 図3.企業収益伸び率 図4.タイ・べトナム直接投資伸び率

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