今週の指標 No.653 目次   前へ 次へ 2005年8月29日

英国政策金利:僅差の利下げ決定

ポイント

  1.  英国の中央銀行であるイングランド銀行(以下BOE)は、8月3日と4日に金融政策委員会(以下MPC)を開き、政策金利を4.75%から4.5%に引き下げることを決定した(図1)。4〜6月期のGDP成長率速報値が、1〜3月期に続いて前期比年率1.5%にとどまったことなどから、この決定自体は市場の予想通りだった。しかし8月17日に公表されたMPCの議事録では、9人の委員のうちキング総裁を含む4人が据え置きを主張しており、利下げ決定は予想外の僅差だったことが明らかになった(表1)。
  2.  利下げ派は、家計支出及び設備投資の鈍化による景気減速が明らかである点を指摘している。個人消費が鈍化している背景として、家計債務が年々増加していること、2003年後半から行われた利上げの効果が昨年後半から表れたことなどが挙げられる(図2)。また、市場では8月のMPCで利下げを行うとの見方が大勢を占めていたことから、市場の信用を損なわないためにも早期の利下げを主張したとみられる。ただし、将来の金利の方向性については、「何の仮定もない」としている。
  3.  一方据え置き派は、GDPについては、減速はしたものの引き続き潜在成長率に近い水準であり、むしろ、原油価格の高騰等によるPPIの急上昇と単位あたり労働コストの上昇率の年初来からの加速等から、インフレ圧力が収まると結論付けるのは早すぎると主張した。消費者物価上昇率は、2005年6月に政府のインフレ目標である2.0%に達しており(図3)、利下げに伴う景気回復の加速により、インフレ圧力がさらに高まることに対して警戒感を示している。
  4.  当初市場では一段の利下げが見込まれていたものの(表2)、今回のMPC議事録の内容によって、BOEは将来の利下げ継続にかなり慎重であることが明らかとなった。それを裏付けるように、その後発表された7月のCPIはインフレ目標を上回る2.3%まで上昇したことから、近いうちに追加利下げが行われる可能性は少なくなったとみられている。一方で、今後さらに景気が減速するような場合には、市場の追加利下げに対する期待が一層高まることが予想される。

図1:政策金利とGDP成長率の推移 表1:MPCにおけるこれまでの投票実績

図2:家計債務の所得に対する割合と個人消費の伸び率 図3:CPIの推移 表2:市場の政策金利見通し



担当:海外担当参事官付

野澤 郁代 直通 03-3581-0974   
山村 一夫 直通 03-3581-9537 

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