今週の指標 No.650 目次   前へ 次へ 2005年8月22日

多様化しつつある家計の金融取引

<ポイント>

  1. 2004年度末の家計の金融資産残高は1,416兆円(前年度比+5兆円)となった。最大の運用資産である「現金・預金」は、現行の統計による遡及が可能な1979年度以降で初めて減少する一方、「株式」、「投資信託等」、「債券」といった価格変動の影響を受ける資産は、2年連続で増加した。(図1)
  2. 金融資産残高の変動を、株価等の価格変動要因と金融取引(フロー)要因に分けると(図2)、価格変動要因も大きく寄与している。また、90年代には、「現金・預金」や「保険・年金準備金」等の金融取引の増加が継続的に金融資産残高の増加に寄与していたが、近年はこうした要因は剥落しており、2000年度以降、金融取引はほぼ横ばいで推移している。
  3. こうした中、2000年度以降の金融取引の変動の内訳をみると、04年度には、「投資信託等」や「債券」を中心に、金融取引の増加要因となっている(図3)。「投資信託等」の金融取引の増加は、98年12月に解禁された投資信託の銀行窓販による販売額が増加していること(図4)、中高年層を中心に外債等の金融資産における保有割合が高まっていることなどにも表れている。また、「債券」の増加には、03年3月以降発売された個人向け国債の販売額が適用利率の上昇とともに好調に推移していること(図5)などが寄与している。
  4. このように、これまでの預金等を中心とした家計の金融資産保有の形態が、低金利の持続やペイオフ解禁の流れの中で、変化がみられるようになった。今後、家計の所得環境の着実な改善が期待される中、金利の動向や家計のリスク選好の多様化(ローリスク・ローリターン選好に加えてハイリスク・ハイリターン選好の併存)、金融機関の提供する商品の多様化に応じて、家計の金融取引における選択が広がっていくと考えられる。

家計の金融資産残高の動向
家計の金融資産保有額変動の内訳
金融取引(フロー)の変動の内訳
投資信託の販売態別純資産残高の推移
個人向け国債の販売額の推移

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 高橋慶子 直通:03-3581-5854


本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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