今週の指標<No.649> 目次   前へ 次へ 2005年8月15日


アメリカ:労働需給の逼迫が懸念材料

<ポイント>
  1. 8月5日に公表された米国の雇用統計においては、非農業雇用者の増加数が前月差20.7万人増となった。2005年前半で見ると高い経済成長を記録した昨年の平均(18.3万人)を上回る雇用の拡大ペースとなった(図1)。今般の景気回復局面においては雇用の回復が伴わないと指摘されてきたが、2004年後半以降、増加傾向にある雇用の足取りが確実なものとなっていることを示している。

  2. CEA委員長のバーナンキも同指標の発表後の記者会見において、雇用は今後更に力強く拡大していくだろうと述べ、実質賃金についても上昇していくだろうと述べた(図2)。このような雇用動向は、所得や消費に対するマインドに好影響を与えるものと見込めることから、米国経済が下半期も引き続き堅調に拡大する基礎となることが期待される。

  3. 雇用の力強い拡大は同時にインフレ圧力の更なる高まりも意味する。単位労働コスト、労働生産性などの一連の雇用関連指標の動向をみると、労働生産性の伸びが鈍化傾向にある中、単位労働コストは、昨年後半以来上昇に転ずるなど、賃金圧力が高まってきていた(図3)。8月9日に公表された単位労働コスト、労働生産性によっても05年第2四半期でもこうしたインフレ圧力が存在する傾向が確認された。労働参加率が趨勢的に低下傾向にあること等から、労働供給には余力があり賃金圧力は一部減殺されるとする見方(注)も一部にはあるが、FRBはインフレに対する警戒感をむしろ強めてきている。7月20、21日のグリーンスパンの議会証言、8月9日に出されたFOMC声明においては、足下の物価関連指標は落ち着いているにもかかわらず(図4、5)、インフレ圧力の高まりに対して懸念が示された。

  4. 市場でも金利引き上げの打ち止め感が後退してきている(図6)。グリーンスパン証言の行われる前(7月19日時点)で3.975%であった12月時点FF先物レートは、8月9日のFOMC開催後には4.095%まで上昇している。これは、7月中旬までは年内に4回程度の25ベーシスポイントの利上げが行われるということが市場のコンセンサスとなっていたのに対して、8月のFOMC以降は年内すべてのFOMCで利上げを行うという見方が増加してきていることを示している(FOMCは2005年内にはあと3回開催される予定)。



(図1)非農業雇用者数(図2) 実質賃金(前年同期比)(時間単位賃金、雇用統計ベース)(図3)労働生産性、単位労働コスト(前年同期比の推移)(図4)コア企業物価指数(エネルギー・食料を除いたもの)(図5)PCEコア・CPIコアの推移(前年同期比)(図6)FF金利先物が示唆するFFレート水準  

        担当:海外担当参事官付 勝間田 真由子 直通 03-3581-9536  mayuko.katsumata@cao.go.jp
        海外担当参事官補佐 野澤 郁代 直通 03-3581-9536 kayo.nozawa@cao.go.jp

      * 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。
目次   前へ 次へ