今週の指標 No.648 目次   前へ 次へ 2005年8月15日

原油価格上昇で、好調な石油会社の決算

<ポイント>

  1. 石油会社の決算が、2004年度に続き、2005年度第1四半期も好調である。
    6月に調査された石油・石炭業界の2005年度経常利益見通し(日銀短観)では、前年比26%の減益見通しであった。
    ところが、2005年第1四半期を発表した会社は、大幅な増益となっている(図2)。
  2. 個別石油4社の決算の状況をみると、A〜C社は、2004年度で3桁の大幅増益となった
    が、2005年度は、A社・B社は一転し2桁の減益となると見込んでいた。
    しかし、2社の2005年度第1四半期決算は、利益倍増となっている。
    他方、D社は、他社に比べて2004年度の増益幅が少ないが、2005年度も引き続き増益のスタートとなっている。
  3. この背景には、在庫の評価方法が、A〜C社は総平均法で、D社のみが後入先出法を採用していることが大きく関係している。
    仕入価格が上昇している局面では、期首の安い在庫が当期の売上原価に反映され、総平均法の方が後入先出法よりも利益が多く算出される(参考1〜3)。
    実際、総平均法を採用している3社の在庫評価法による利益増加は、2004年度で計1,265億円となっており、3社の2004年度経常利益合計額(3,524億円)の36%を占める。
    (各社決算IR資料より)
    他方、D社では、後入先出法のため、利益幅は総平均法に比べて小さくでる傾向になる。
  4. 現在の原油価格は、2005年度第1四半期よりも更に上昇している(図3)。
    この傾向が続けば、総平均法を採用している会社にとっては、増益要因となる。
    原油のみならず仕入価格が大きく変化する局面においては、在庫評価の会計処理基準が企業収益に大きな影響を与えることになる。
    尚、どの評価方法を採用するかは、一般的な方法であることと、継続適用を条件に企業側が任意で選択できる。

図1 石油・石炭業界の経常利益の推移
図2 大手石油4社の決算
図3 原油価格の推移
参考1 当期売上原価算出の仕組み
参考2 後入先出法の場合
参考3 総平均法の場合

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 藤原健一 直通:03-3581-5854


本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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