今週の指標 No.642 目次   前へ 次へ 2005年7月25日

高止まりする輸出依存度

<ポイント>

  1. 輸出依存度(輸出額÷名目GDP)をみると、輸出金額の増加を受け、20年ぶりの高い水準にある。ただ、このところ輸出金額自体の伸びが緩やかになっており、04年後半以降、輸出依存度の伸びが頭打ちとなり、高止まりしている(図1)。
  2. ここで、わが国の輸出競争力の変化を検証するため、国際的な競争力を示す一つの指標である、日本の貿易特化係数(「輸出−輸入」÷「輸出+輸入」)(注)の地域別推移をみたところ、対アメリカ、対EUでは、大きな変化がない一方、中長期的に輸出金額が増加している対アジアで緩やかな上昇傾向にある。ただ2004年後半以降、アジアについては、やや貿易特化係数は低下している(図2)。これは、日本からの中国向けの貿易特化係数が、輸入に特化する方向へ強まったのが一因と考えられる。しかし、中国への輸出金額自体は増加基調にあり、対中国向け輸出で日本の競争力が低下しているというよりは、むしろ、中国からの輸入金額が衣料品、食料品、音響映像機器などを中心に輸出金額を上回るペースで急増しているのが原因である(図3、4)。
  3. 次に、各国地域ごとの世界全体との輸出入総額について貿易特化係数についてみると、日本の輸出特化度合いは、アジア・アメリカ・EUの主要地域より相対的に高く、大きな変化なく底堅く推移している。貿易特化係数でみた日本の輸出競争力には、これまでのところ大きな変化はみられない。ただ中国の輸出特化度合いは、04年以降、アメリカ、日本などへの輸出金額の急増を背景に、急速に高まっており、中国の世界貿易での存在感の拡大がうかがわれる(図5)。
  4. このように各国地域の貿易特化係数については中国の変化が目立つ。これを反映し、日本の中国向け貿易特化係数が輸入特化の方向へ動いている。また、中国の輸出増加は、日本の対中部品輸出増加を誘発し、輸出依存度の増加につながってきた面もあると言えよう。なお、7月21日より中国の為替制度は、対ドルの中心レートは1ドル=8.11元へ切り上げられ、通貨バスケットを参照する新たな管理相場制に変わった。今後の輸出入環境は人民元の中長期的な動向にも影響を受けると考えられ、注視が必要である。

    (注)貿易特化係数:ある商品について、輸入が全くなく輸出に特化している場合は「+1」、逆に輸出が全くなく、輸入に特化している場合は「−1」となる。国際的な競争力を示すと言われる指標。ただし、輸出と輸入の相対的関係をみているに過ぎず、市況の変化等の影響を受けることに留意する必要がある。

図1.輸出依存度の推移
図2.3.4.日本の貿易特化係数と輸出入金額
図5.各地域ごとの貿易特化係数

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 林 厚志 直通:03-3581-9527


本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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