今週の指標 No.641 目次   前へ 次へ 2005年7月19日


中国:引き続き警戒が必要な物価上昇圧力 


<ポイント>
  1. 中国のCPI上昇率は、昨年10月以降、豊作だったこともあり、高騰していた食料品価格の上昇率が急速に低下したことや、投資の力強い拡大による供給能力の向上等を受け、総じて低水準で推移している(図1)。特に、年初来の原油価格の再高騰にもかかわらず、第1四 半期は前年同期比2.8%、4月、5月は連続して同1.8%と、今年の全人代で設定された目標値の4%を大幅に下回っている。しかしながら、このような状況においても当局はインフレに対して警戒的な態度を依然とり続けている(表1)。
  2. その要因の一つとして、人民元切上げ期待から、経済のファンダメンタルズに比べ割安となっているとされる為替レートを通じ、輸入物価への上昇圧力は一層高まっているということが指摘されている。また、高騰する原油価格の川下への転嫁にはタイムラグを伴うことや(図2)、近年ます ます深刻化する電力、水不足に対応すべく、これまで価格統制を行ってきた公共料金引き上げの動きがあることがあげられる。
  3. 具体的には、電力需要が急増する夏をひかえ、本年もすでに5月1日から全国的な料金引き上げが行われている。しかしながら、これまで価格統制により意図的に公共料金を低く抑えてきたことから、中国のエネルギー効率は高成長を続けているにもかかわらず改善しておらず(図3)、今夏も昨年に続き全国で約2500万kwもの大規模な電力不足が生じると予測されている。そのため夏のピークに向けて更に公共料金の上昇圧力が高まること も懸念される。当局がこれまでの価格統制を緩め、公共料金に需給の動向を徐々に反映させる可能性があることから、今後原油価格等の高騰の影響がより川下へ波及しやすくなることが予想され、インフレ圧力の高まりについては引き続き警戒する必要があるといえよう。



図1.CPIの推移 表1.インフレ懸念に対する当局の対応・コメント 図2.CPI・PPIと原材料費購入価格の推移 図3.エネルギー弾性値


担当:海外担当参事官付   茂野 正史  直通 03-3581-9537  masashi.shigeno@cao.go.jp
                   渡邊 美耶子  直通 03-3581-9537  miyako.watanabe@cao.go.jp

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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