今週の指標 No.639 目次   前へ 次へ 2005年7月11日

電子部品・デバイスを除く在庫増加による生産の下押し圧力は限定的

<ポイント>

  1. 鉱工業生産は横ばいで推移し、電子部品・デバイスは在庫調整が進捗しているが、01年のITバブル崩壊時に比べると小さな調整となっており(図1)、調整は短期間で終了し、生産が回復するものと期待されている。一方、05年1−3月期において、情報化関連生産財を除いた在庫循環が45度線を越え(図2)、これらの在庫調整が、生産の新たな下押し圧力にならないかとの懸念が出てきている。ここでは、こうした在庫変動が今後の生産にどの程度影響を与えうるかを見てみたい。
  2. 在庫が生産に与える影響は、「在庫指数」よりも、出荷とのバランスを示した「在庫率」の変動の方が関係が深い。これは、過去の生産指数の変動と在庫率指数の変動が、高い負の相関関係を示していることからも確認できる(図3及び図4)。
  3. また、業種別に生産と在庫率の相関をみると、負の相関の強弱にばらつきが見られる(図5)。「窯業・土石」や「鉄鋼」、「電子部品・デバイス」などで強い負の相関が見られる一方、「輸送機械」では殆ど相関は見られない。これは品目により、生産形態や製品の出荷方法が大きく異なることに起因すると想定される。
  4. そこで、ITバブル崩壊時と今回の在庫率変動を比べると、
    1. 今回の在庫率の上昇は相対的に小さい、
    2. 在庫率上昇を業種別寄与度でみると、今回は、(在庫率上昇が生産減少につながりやすい)「鉄鋼」、「窯業・土石」、「化学」の寄与が小さく、(在庫率上昇が生産減少につながりにくい)「輸送機械」の寄与が大きい、
    ことが分かる(図6)。
  5. こうしたことから、電子部品・デバイスの在庫調整の動きには注意が必要であるが、それ以外の在庫増による生産下押し圧力は、今後大幅な需要減が起こらない限り、これまでのところは小さいと考えられる。

(図1)情報化関連生産財の出荷・在庫ギャップ (図2)在庫循環図(除、情報化関連生産財)
(図3)在庫率指数と生産指数 (図4)生産指数変動率との相関関数
(図5)在庫率と生産の相関(業種別)
(図6)累積在庫率増加における業種別寄与
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 新屋 吉昭 直通:03-3581-0806


本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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