今週の指標 No.637 目次 前へ 次へ 2005年7月4日

教育支出増加の背景
−4年制大学進学率の上昇、私立比率の上昇、補習教育費増加などが寄与−

<ポイント>

  1. 家計調査の世帯あたり教育支出(実質)は、2001年度までは少子化の流れもあって減少傾向となっていたが、2002年度以降は反転して上昇傾向で推移している【図表1】。ここでは消費者物価を用いて実質化した結果をみているため、この増加は単なる授業料の引き上げ以外の要因によるものである。少子化が継続する中で、教育支出が増加している背景を調べてみた。
  2. 2001年度から2004年度への世帯あたり教育支出(実質)の変化を要因分解すると、授業料等支出が最も大きく増加に寄与しており、補習教育支出はそれに次いで増加に寄与している【図表2】。このそれぞれについて更に要因分解を試みた。
  3. まず、授業料等支出について要因分解すると、私立大学への支出が最も大きくプラスに寄与し、私立中・高校、その他(幼稚園、小学校、専修学校他)への支出が次いで寄与している【図表3】。私立大学への支出増については、近年の短大数の減少を受け、その分4年制大学の生徒が増えていることが要因となっている【図表4、5】。特に私立大学の方が生徒数を増やしており、このような2年制から4年制への学生の移行が世帯あたりの教育費の増加につながっている。また、専修学校も生徒数を増やしている。高校以下については、国公立の生徒が減る中で、私立の小・中学の生徒数は若干ではあるが増加している。全体の生徒数が減少する中で、これらの私立比率の上昇も教育支出の増加に寄与している要因であろう。
  4. つぎに、補習教育支出(名目)について要因分解すると、高校生の塾や予備校の支出はそれほど増えていないが、幼児教育や小・中学生の塾への支出が増加していることがわかる【図表6】。ここではデータの制約から「塾の授業料の増加」と「塾に通う生徒数の増加」の要因に分解することはできないが、有名校への進学熱が依然高いことを背景に塾に通う生徒数が相当数増加しているとみることはできるだろう。
  5. 上でみたように、02年度以降の増加は、(1)短大数の減少などによる4年制大学進学率の上昇、(2)小・中・高の生徒数における私立比率の上昇、(3)補習教育支出の増加が主な要因と考えられる。今後とも上記のような動きが続けば、少子化の中でも教育支出はそれほど減少することはないと見込まれる。
  6.    

図表1.世帯あたりの教育支出(実質)と4〜22歳人口の推移  図表2.世帯あたり教育支出(実質)の要因分解

図表3.授業料等支出(実質)の要因分解  図表4.生徒数の変化

図表5.4年制大学進学率の推移  図表5.補習教育支出(名目)の要因分解

備考


担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 青木 紀和 直通 03-3581-9516 

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。



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