今週の指標 No.634 目次   前へ 次へ 2005年6月20日

政府余裕金と日銀当座預金残高の関係

<ポイント>

  1. 最近、政府余裕金の増加が量的緩和政策において日銀当座預金の残高目標(30〜35兆円)に大きな影響を与えているとの見方がある。実際に日銀の資金供給オペでは2002年に次いで「札割れ」が多発し、今年6月上旬には2日間ほど残高目標値を下回った(図1、図2)。そこで政府余裕金の動向を調べてみよう。
  2. 政府余裕金とは日銀に設けてある政府預金口座における残額や日銀が政府を相手に国債の売現先取引(注)をしている残高などのことである。政府余裕金の残高推移をみると、このところ増加傾向にある(図3)。2005年3月末時点では29.8兆円となっており、内訳は(1)政府預金7.6兆円、(2)対政府長期国債売現先の残高22.2兆円となっている。
  3. 2003年後半以降、政府余裕金が増加している要因として税収の伸びや国債の発行増などが考えられ(図4)、特に本年6月上旬においては法人税支払の増加が政府余裕金を増加させ、一時的な日銀当座預金残高の下限割れを引き起こしたと考えられる。
  4. しかし、政府余裕金の多寡だけが日銀当座預金残高の変動に大きく影響するわけではない。当座預金残高は多くの要因によって変動し、例えば銀行券の払い出しが増加すれば当座預金残高は減少し、金融システム不安の後退により金融機関の資金余剰感が強まれば当座預金需要が減少する。金融調節と日銀当座預金残高の動向を見る際にはこういった要因も勘案してみることが重要であろう。
    (注)一定期間後に買い戻すという条件を付けて売却する取引。日銀は政府に対してこのような資金運用手段を提供することで政府の資金繰りの効率化に寄与している。

図1.「札割れ」件数の推移 図2.最近の日銀当座預金残高の推移
図3.政府余裕金の推移 図4.国債発行額と租税収入等の推移
参考図.日銀・政府・民間金融機関の資金フローのイメージ
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 上田 洋一郎 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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