今週の指標 No.626 目次  前へ 次へ 2005年5月16日

拡大基調にあるREITなど不動産証券化市場

<ポイント>

  1. REIT(不動産証券化投資信託、Real Estate Investment Trust)や不動産私募ファンドへの資金流入が続いている。J-REITは2001年9月に東証に2銘柄が上場して以来、2005年2月末までに15銘柄が上場され、純資産額は約1兆3千億円(図1)、時価評価額では約2兆2千億円に上っている。またJ-REITより組成、運営に柔軟性があるといわれている私募不動産ファンドの規模もREITを上回る勢いで伸びている模様。※1
  2. この背景には資金運用難で新たな投資先を求める投資家や金融機関がある。(図2) TOPIXと東証REIT指数を比較してみると、REIT市場の好需給により特にこの一年ほどの間に大きく乖離がみられ(図3)、2004年4月から2005年3月の期間でTOPIXが0.3%の上昇に留まったの対し、東証REIT指数は9.1%も上昇した。
  3. そのような中、REITなど不動産ファンドの投資対象である信託不動産の状況をみると、受託残高及び件数ともにREIT市場や私募不動産ファンド市場と歩調を合わせ急拡大している。(図4)一方で、1件当たりの金額については明らかに低下してきており、投資対象不動産の多様化、あるいは小口化の可能性がうかがえる。
  4. 今後の見通しとしては、資金運用ニーズ※2や私募不動産ファンドからの移行等※3を受け、引き続きJ−REIT市場は拡大していく見込みだが、不動産仕入れ価格の上昇による利回り低下(図5)や投資対象不動産の多様化によって起こりうるREITファンド間の利回り格差などに留意が必要である。

    ※1.私募不動産ファンド市場の全容を示す統計は今のところ存在しないが、株式会社住信基礎研究所の推計によると2004年12月末時点の市場規模は2兆2千億円となっている。
    ※2.2003年7月に解禁されたREITを組み入れたファンド・オブ・ファンズ型の投資信託の残高も増加しており、2005年3月末現在で残高8,450億円となっている。
    ※3.株式会社住信基礎研究所が2004年11〜12月に行ったアンケート調査によると、私募不動産ファンドへの投資家層を拡大するための有力な方法として「J−REITへの移行」や「J−REITへの売却」が挙がっている。

図1.J-REIT純資産と銘柄数
図2.機関投資家への不動産運用アンケート調査
図3.TOPIXと東証REIT指数
図4.不動産の信託の受託状況
図5.J-REIT予想配当利回りの推移

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 能瀬 憲二 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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