今週の指標 No.619 目次   前へ 次へ 2004年4月12日

家計や企業の金融取引はマネーサプライの変動にどのような影響を与えているのか?

<ポイント>

  1. 日本銀行の資金循環統計によると、2004年中の家計や非金融法人企業の金融取引が増加している(図1)。金融取引の内容をみると(表2)、2004年中は両者ともに「株式・出資金」を売り越している様子などがみてとれる。
  2. こうした金融取引はマネーサプライにも影響を及ぼす。そこで、通貨保有主体(=主に家計や企業)の金融取引がマネーサプライにどのような影響を及ぼしているのかを分析するため、通貨保有主体のバランスシートからマネーサプライの伸び率変動の要因分解を行った(図3)。このアプローチの長所は、家計や企業による金融取引や直接的な資金の流れを把握することができる点である。また、政府や金融部門、海外部門の資金過不足の影響も把握することができる(分析方法の概要については(参考)を参照)。
  3. 図3からは、マネーサプライの主な変動要因は、海外部門と財政部門の資金不足が増加に寄与し、貸出金減少・借入金返済と金融部門の資金余剰が減少に寄与していることがわかる。その他にも、家計や法人でも動きがみられる。家計は郵貯から民間金融機関へ資金をシフトさせており、企業は株を売り越している(図4)。統計上、「株式・出資金」はマネーサプライ(M2+CD)の集計対象には含まれないが、これを売って現金・預金にするとマネーサプライに含まれる。郵便貯金も対象外だが、銀行等の預金に移すとマネーサプライの対象となる。これらは統計上の問題であるが、マネーサプライに影響を与える。
  4. したがって、マネーサプライの動きをみるうえでは、上記のような統計上の要因によって変動することもありうることを念頭に置いて注視する必要がある。

図1 家計と非金融法人企業の金融取引 表2 2004年中の家計・非金融法人企業の金融資産運用
図3 通貨保有主体のB/Sからみたマネーサプライの変動要因
図4 通貨保有主体内における資金シフトの内訳

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 前中 康志 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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