今週の指標 No.617 目次   前へ 次へ 2005年4月4日

2004年の所得収支の黒字は過去最高額

<ポイント>

  1. 2004年の所得収支は過去最高の黒字となった。これは投資収益受取が証券投資を中心に増加し、投資収益支払は借入利子や預金利子の支払などのその他投資を中心に低水準で推移したためである(図1)。収益受取を地域別にみると、直接投資は米国とアジアが多く、証券投資は米国とEUが多いことがわかる(図2)。
  2. この背景をみるため対外資産残高の動向をみると、資産では証券投資や外貨準備を中心に増加傾向にあることがわかる(図3)。また残高の増減要因をみると、取引フローは一貫して増加要因に働いていることがわかる(図4)。地域別では、2003年までをみると直接投資残高は各地域ともあまり伸びていない一方で、証券投資残高はアジアでは減少傾向にあり、米国やEUで増加傾向にあることがわかる。なお、2004年上期のアジアにおける証券投資額は高い水準となっている(図5)。
  3. 一方、日本の対外投資収益率は低下傾向にある上、米国やイギリスと比較しても相対的に低いことがわかる(図6)。これは対内投資支払比率(所得収支支払/対内投資残高)が相対的に低い米国やEU諸国(図7)の残高における構成比が高いことなどが影響していると考えられる。事実、日本の対外投資収益率は米国やイギリスなどの対内投資支払比率に近くなっている。なお、日本の対内投資支払比率は、金利が低水準で推移していることなどを背景に低下傾向にあり米国やイギリスなど先進諸国と比較しても相対的に低い水準にある。
  4. このように、近年の所得収支の黒字拡大傾向は投資の効率性というよりは、むしろ経常収支の黒字を背景とした対外投資による対外資産残高の増加に起因するものである。リスクバランスを考慮しつつ、さらなる対外資産の有効な蓄積を図っていくことが重要であると考えられる。

図1所得収支の推移
図2地域別所得受取の推移
図3図4対外資産の推移
図5A地域別直接投資
図5B地域別証券投資
図6対外投資収益率
図7対内投資支払比率
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 中野 貴比呂 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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