今週の指標 No.614 目次   前へ 次へ 2005年3月22日


フランス:住宅ブームの動向

<ポイント>

  1. フランスの住宅価格は99年頃から上昇傾向を示し、2002年以降は高い伸びを続けている(図1)。こうした住宅ブームを反映した住宅価格上昇による資産効果は個人消費への刺激となったとみられる。フランス経済は2003年後半以降好調を持続しており、好調な個人消費を支える重要な要因として資産効果を通じた住宅価格上昇の影響が指摘されている(図2)。
  2. 英国不動産鑑定士業界団体であるRICSが発表したヨーロッパの住宅に関するレポートでは、フランスの住宅ブームの要因について、(1)低金利、(2)高い潜在需要、(3)政府による住宅関連優遇政策、(4)安定的な資産としての認識などを挙げている。(1)に関し、ECB(欧州中央銀行)は2003年6月以降、政策金利水準をユーロ圏で戦後最低の2%に据え置いている。それに連動しフランスの住宅ローン固定金利も低下しており、住宅ローンが利用しやすくなっている(図3)。(2)に関しては、人口増、一世帯人口の減少などにより世帯数が増加する一方で、英国をはじめ北ヨーロッパの人々を中心とするフランス国内でのセカンドハウス需要も強い。(3)に関しては、政府は良好な住宅を提供するため様々な補助を与えている。その中で、2003年4月にドロビアン前住宅相が賃貸目的で住宅を購入する者に対し導入した優遇税制措置は、賃貸住宅に対する需要を高め、2003年後半以降の住宅価格及び家賃の急上昇につながったとされている。政府は同措置に関しこれ以上の家賃の上昇を招かないよう対応の必要性を示唆している。(4)に関しては、2000年の株価下落で株式投資への警戒心が強まり、不動産保有への人気が高まっている。
  3. 住宅市場は活発な活動が2005年も続く見通しとなっており、INSEEによる2005年の住宅投資伸び率見通しは2004年と同程度の3.8%となっている。また、ユーロ圏では緩やかな景気回復が見込まれること、住宅に対する高い潜在需要があることなどから、住宅価格の急調整が発生する可能性はそれほど高くないと見込まれる。政策金利については、2005年3月ECBのトリシェ総裁が「いずれ利上げをしなければならないことは皆が知っている。」と述べていることから、市場でも年内に利上げが行われるとの見方も出てきているが、水準自体は依然として低いことには変わりない。
  4. しかし、2002年以降の住宅ローンの伸びの高まりは顕著であり2005年2月には、ECBのトリシェ総裁は「豊富な流動性と銀行与信の力強い伸びがユーロ圏のいくつかの地域において持続不可能な不動産価格上昇につながる可能性がある。」と発言し住宅価格高騰への懸念を示した(図4)。フランスの住宅価格上昇は低金利環境下のユーロ圏全体の住宅ブームという文脈の中でとらえる必要がある。


(図1)住宅価格と住宅ローンの伸び、(図2)フランスGDP成長率

(表3)政策金利と住宅ローン固定金利、(図4)各国の住宅価格の伸び


担当:海外担当参事官付 小清水 世津子  直通03-3581-0056

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ 次へ