今週の指標<No.612> 目次   前へ 次へ 2005年3月14日


中国・香港:CEPAの発効による貿易の変化について

<ポイント>
  1. 中国と香港は2003年6月に経済貿易緊密化協定(以下、CEPA)を締結し、2004年1月に発効された。CEPAは香港製品にかかる関税の撤廃や、中国本土のサービス市場を香港企業に開放するなどの内容となっている(表1)。香港にとっては低迷していた経済を中国との結びつきを強めることで活性化させるものとして、また中国にとっては、WTO加盟により2006年12月までに本格的な市場開放を約束していることから、将来の市場開放に向けての試験段階としてそれぞれ位置づけられている。
  2. 香港の対中輸出はほとんどが再輸出であり、輸出総額に占める地場輸出の割合はわずかである。CEPA発効により香港製品にかかっていた関税が撤廃されたため、中国本土に進出した香港の製造業の回帰が期待されていたが、CEPA発効後の地場輸出の額には目立った変化はない(図1)。2005年1月に新たに713品目の関税が撤廃されたが、香港の生産コストが本土に比べ割高なことから、雇用促進効果等は限定的と見られている。
  3. 一方、中国向けの再輸出は年々増加している。原産国別にみると、日本、台湾、韓国等アジア地域は近年再輸出額を伸ばしている(図2)。CEPAでは香港企業と認定された外資企業が輸出する際に、香港内で生じた付加価値が輸出価格の30%以上を占めることを条件に関税を免除する規定がある。そのため中国本土への直接輸出によって生じる関税負担を減らす目的で、外資企業が香港の子会社や取引先を使い、香港経由した中国本土向けの輸出を増やしていると考えられるが、経済活性化に結びついていない。
  4. サービス分野では、中国のWTO加盟に伴う市場開放より前倒しで、CEPAに基づく市場開放が行われているため、そのメリットを生かした香港企業の進出が進んでいる。CEPAを通じた中国進出の際に必要な「香港サービス提供者証明書」の発行状況をみると、2005年2月時点の認可数は、2004年6月に比べ約2倍に増えており、その多くが運輸・物流、小売に集中している(図3)。今後WTO加盟に伴う市場開放スケジュールが進むとともに前倒しのメリットは少なくなるため、今後はWTOの公約にない分野の開放などが焦点になると考えられる。




(図2)原産国別中国向け再輸出の推移(前年比) (図3)CEPA「香港サービス提供者証明書」発行状況

担当:海外担当参事官付  山村 一夫  直通 03-3581-9537 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。



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