今週の指標 No.611 目次   前へ 次へ 2005年3月14日

地方都市にも拡がる住宅着工増加の動き

<ポイント>

  1. 2004年の住宅着工総戸数は前年比2.5%増の118.9万戸となり2年連続で増加となった。これを受けて、民間住宅投資額も2004年は前年比2.2%増と4年ぶりに増加に転じた(図1)。住宅着工戸数の伸びを、地域別、利用関係別に分解すると、南関東(首都圏)では共同建分譲住宅(マンション)がやや減少となっているが、貸家、戸建分譲住宅が増加している。この他、九州、中国地方での貸家、マンションの増加が全国の住宅着工戸数の伸びに大きく寄与していることが見られる(図2)。
  2. 主な地方都市におけるこの2年の住宅着工の動きをその周辺と比較してみると、福岡市や札幌市では、その周辺地域に比べて住宅着工戸数が顕著に増加している(図3)。この他、2004年に都市での増加が顕著になった都市(京都市、仙台市)や、増加幅が小さくなっているものの増加が続く都市(神戸市、広島市)もみられる(図3)。特に、福岡市での2004年の増加は、九州地方の増加の57%を占めるほど大きなものとなっている。この要因の一つとして、不動産投資ファンドが活況であり、投資先として賃貸マンションなどが盛んに建設されているとの指摘もある。
  3. 主な地方都市として札幌市、広島市、福岡市について、住宅着工戸数の動向を世帯数の動向と併せてみる。これらの地域では都市の世帯増加率が、属する都道府県の世帯増加率を上回るという、市街地への集中が顕著に見られる。これが都市における住宅着工戸数の1つの増加要因となっていると考えられる(図4)。こうしたことを背景にマンション建設も堅調となっており、一部では20階以上の超高層マンションの建設計画も見られる。(図5)
  4. このように、住宅着工増加の動きは、首都圏に限らず、地方都市にも拡がりを見せている。今後の住宅着工の動向については、景気回復が地方へ浸透することに加え、首都圏等から地方へのUターンや、地方の周辺地域から市街地への集中がさらに進めば、地方都市では住宅着工戸数の増加も期待できる。

図1.住宅着工総戸数、民間住宅投資(実質値)の推移 図2.地域別、利用関係別の住宅着工戸数
図3.都道府県における都市の住宅着工戸数
図4.主な地方都市における住宅着工戸数、世帯数の推移(札幌市、広島市)
図4.主な地方都市における住宅着工戸数、世帯数の推移(福岡市)
図5.2005年以降に完成を予定している超高層マンションの棟数

(備考)
1.国土交通省「建築着工統計」、内閣府「国民経済計算」、総務省「住民基本台帳人口要覧」、(株)不動産経済研究所資料により作成。
2.図2は全国の住宅着工戸数の2004年における前年比伸び率を、地域別、利用関係別に分解したもの。地域区分は、内閣府「地域経済動向」の地域区分Aによる。
3.図3は各都道府県の04年着工戸数の前年比を、括弧内で示された都市とそれ以外の地域に分解したもの。
4.図4の世帯増加率とは、各年3月31日現在の住民基本台帳に基づく世帯数の増加率である。
5.図5の左図は主な地域の超高層マンション(20階以上)の完成予定を棟数で示したもの。右図は全国での完成予定を地域別に棟数で示したもの。地方圏とは首都圏、近畿圏以外のすべて。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 植田 博信 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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