今週の指標 No.606 目次   前へ 次へ 2005年2月14日

より緩やかな実質実効レートの動き

<ポイント>

  1. 対米ドル円レートは昨年暮れから円高が進み、一時は101円台になった後一転して円安に戻すなど、このところ為替動向に注目が集まっている(図1)。円高は我が国の輸出競争力を低下させると考えられるが、その大きさをここで検討してみたい。
    まず実質実効為替レート(内外物価上昇率の差を考慮するとともに円と主要な他通貨間のそれぞれの為替レートを、日本と当該相手国・地域間の貿易ウエイトで加重平均した指数)の動きをみると、対米ドル円レートほどには円高となっていないことが分かる(図2)。
  2. 実質実効為替レートが対米ドル円レートほど円高にならない理由としては、対ユーロ、韓国ウォン等で円安になったこと、また緩やかなデフレ状態にある我が国と比べて貿易ウエイトが大きい米国・中国・ユーロエリアなど(図3)で物価上昇率が高いことが挙げられる(図4)。つまり対米ドル円レートでは円高になっているが、他通貨の円安とインフレ格差がこれをある程度相殺するため、実質実効ベースではそれほど円高が進まないと考えられる。
  3. また、実際の輸出における取引通貨をみると対米貿易のうち円建ての比率は12.9%、EU向け輸出では29.3%、アジア向けでも52.8%に過ぎず(図5、2004年下期実績)、このため対米ドル円レートの変動が輸出競争力に及ぼす影響は実際にはもう少し緩やかな可能性がある。
  4. そこで対ドル、対ユーロ、対アジアの名目レート変動が円建て部分にしか影響しないことを勘案して実質実効レートを算出してみる(以降ここでは“修正実質実効レート”と呼ぶことにする、図6)。
    実質実効為替レートは2004年5月から2005年1月に4.0%ポイント上昇したが、寄与度分解してみると名目レートの円高によるものが4.6%ポイント、それを打ち消すインフレ格差が0.6%ポイントであることが分かる。
    さらに円建て比率を勘案した“修正実質実効レート”の上昇率は3.5%ポイントまで下がり、我が国の輸出競争力への影響は表面上の対ドルレートの円高化よりも緩やかであることが分かる。

図1 最近の為替レートの推移
図2 2002年からの実効レートの推移
図3 2003年の貿易ウエイト
図4 主要国の企業物価上昇率(2001/12〜2004/11) 図5 日本からの輸出における取引通貨比率(2004年下期実績) 図6 円建て比率を勘案した実質実効レート

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 上田 洋一郎 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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