今週の指標 No.598 目次   前へ 次へ 2005年1月17日

製造業の海外展開で、納税額は伸び悩み

<ポイント>

  1. 納税額算出の基礎となる黒字法人の所得金額動向を業種別にみると、法人所得額がピークであった91年と02年度では、サービス業、運輸通信業を除くすべての業種で減少している(図1)。
  2. 所得金額の減少が、金融保険業、建設業、不動産業などで目立つのは、バブル経済の崩壊後の資産価格の低迷や、不良債権処理などによるものである。
    しかし、大企業を中心に改善していると言われている製造業の所得が、伸び悩んでいるのは何故であろうか。
    一つの要因として、リストラや会計制度変更に伴う特別損失の影響がある(図2)。
    もう一つの要因として考えられるのが、製造業の海外進出である。
    そこで日本政策投資銀行の「産業別財務データハンドブック」より、製造業の連結・単体それぞれの1社当たり経常利益の推移を見てみよう(図3)。
    これをみると近年、単体に比べて、連結の利益水準が大きくなっていることが分かる。
    これは、安い労働力や、物流コスト削減を目指した海外現地生産の進展によって、海外現地子会社の利益が増加したため、企業グループの利益は増加したものの、国内の親会社・子会社の利益は、緩やかな伸びに留まっているためである。
  3. 91年と02年を比較した黒字法人の法人所得の増減と、海外生産比率の増減の関係を製造業でみると、海外生産比率が高まった業種ほど所得が減少している傾向が窺える(図4)。
    同様に法人所得の増減と、91年から02年における海外直接投資の累計額の関係をみると、海外直接投資額が多い業種ほど、所得が減少している傾向が窺える(図5)。
  4. 以上の分析から、製造業の納税額の減少は、企業の海外での活動の比重が高まっていることにも影響されており、税収面では課題と言えるであろう。
    但し、特別損失は、2000年のピークから減少しており、明るい兆しがみえる(図2)。
    新規工場の国内立地を促すような企業支援策等の検討が、今後の日本の税収を確保していくためにも重要であろう。

(図1)利益法人業種別所得の推移 (図2)製造業の特別損失額の推移
(図3)製造業の経常利益(1社当たり)
(図4)法人所得と海外生産の相関関係 (図5)法人所得と海外投資の相関関係

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付  藤原 健一  直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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