今週の指標 No.591 目次   前へ 次へ 2004年12月20日

香港を考慮した日本の対中国貿易収支は実態としては黒字

<ポイント>

  1. 我が国国際収支をみると対中国貿易収支は赤字が続いている(図1)。しかし、中国側の統計でも対日貿易収支は赤字となっており(図2)、両国の統計には大きな乖離がある。この背景には中継貿易基地としての香港の存在が挙げられる。
  2. 統計上、香港が行政特別区として中国とは別扱いであることに加えて、同一取引において輸出国、輸入国の間で貿易相手国の決定にずれが生じる場合があることが問題を複雑にしている。日中両国とも輸入は「原産国」により区分されるため、日本の中国からの輸入は香港を中継地としても基本的には中国からの輸入となる。一方、輸出は「仕向国」により区分するため、最終消費地が正確に捕捉できないケースが発生しやすい。例えば日本から香港を中継し中国に再輸出された場合、香港向け輸出となるケースである。これにより輸出国と輸入国で統計に大きな乖離が生じることがある。
  3. 日本以外の国においても、中国との貿易収支を考える場合には同様の問題が生じ得る。統計上の非対称性は様々な要因によって起きるため一概には言えないが、例えば人民元の問題を議論する際に採り上げられる米中の貿易バランスをみるような場合にも、両国の統計値は(通関ベースで運賃、保険等の費用を含むことを考慮しても)大きく乖離している(図3)ため、解釈においては両国(香港を含めて)の統計を様々な角度から十分検証する必要があると考えられる。
  4. さて、それでは日本と中国の貿易収支は香港を考慮するとどうなるのか?日本は対香港単独では黒字が続いている(図4)が、この中には中国への再輸出分が多く含まれていると考えられる。香港側統計による日本からの輸入の再輸出状況(図5)を基に、我が国の対香港輸出(国際収支ベース)を単純に比例再配分し対中国、対香港の貿易収支を試算すると対中国貿易収支は、様相が大きく異なってくることが分かる(図6)。2003年には対中国貿易収支は実態としては黒字化していると推測される。

図1対中貿易収支の推移 図2日中間の貿易収支
図3米中間の貿易収支 図4対香港貿易収支の推移
図5香港の日本からの輸入の再輸出状況 図6香港の再輸出を考慮した対中国、対香港貿易収支(試算)
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 中野 貴比呂 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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