今週の指標 No.590 目次   前へ 次へ 2004年12月13日


若年層で増加する派遣労働者

<ポイント>

  1.  労働力調査の従業上の地位別労働者の動向をみると、正規の職員・従業員(以下「正規雇用」という)は減少傾向が続いているが、パート・アルバイトの増加幅が緩やかになる一方、労働者派遣事業所の派遣社員(以下「派遣労働者」という)の顕著に増加している (図1)。
  2.  派遣労働者の増減は、改正労働者派遣法(物の製造業務に対する派遣解禁、派遣期間を1年から最長3年に延長など)施行の影響やアウトソーシングの拡大といった流れを受けて、04年第2、3四半期に増加幅を拡大している。これを、年齢別にみると、特に15−34歳の若年層で増加が顕著になっている (図2)。
  3.  事業所が派遣労働者を雇用する理由をみると、「人件費節約のため」という回答が最も高いが、非正社員全体と比べて「即戦力・能力のある人材を確保する」といった理由をあげる企業が多く、企業側は派遣労働者を即戦力として位置付けている傾向がみられる。一方、働く側の理由をみると、「自分の都合のよい時間に働ける」といった柔軟な雇用形態としての魅力よりも、「正社員として働ける会社がなかった」という理由で派遣労働に従事する割合が多い (図3)。これは、厳しい若年層の就職環境を受けて、正規社員として働く会社が見つからないため、派遣労働に従事する若年層が多いためと考えられる。
  4.  前職、現職の従業上の地位の変化をみると、正規雇用から非正規雇用に移る確率は上昇傾向にあるが、非正規雇用から正規雇用に移る確率は緩やかな低下傾向にある (図4)。非正規雇用への流入は増加し、非正規雇用からの流出が減少しているため、結果として非正規雇用が増加している。男女別にみると、男性は正規雇用から非正規雇用に移る確率が上昇する一方、女性は横ばいとなっている。このところ、男性の非正規化が進んでいることが伺われる。いずれにせよ、一度非正規雇用になると、そこから正規雇用への転換が難しく、特にキャリアの浅い若年層で非正規化が進むことは、職業能力の形成を妨げ雇用の二極化につながる恐れがある。
  5.  なお、賃金への影響をみると、従業上の地位別1月あたり平均賃金は、派遣労働者はパート・アルバイトの2倍程度であるが、一般労働者の3分の2程度であるため (図5)、派遣労働者が増加しても、一人あたり賃金の押し上げ効果は限定的と考えられる。

図1 従業上の地位別雇用者の動向
図2 年齢階層別派遣労働者の動向
図3 非正社員・派遣労働に関するアンケート調査(事業所側)
図3 非正社員・派遣労働に関するアンケート調査(労働者側)
図4 従業上の地位別雇用確率(男女計)
図4 従業上の地位別雇用確率(男性) 図4 従業上の地位別雇用確率(女性)
図5 従業上の地位別平均賃金


(備考)
1.総務省「労働力調査特別調査」、「労働力調査詳細結果」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、「就業形態の多様化に関する総合実態調査」、「労働力需給制度についてのアンケート調査」により作成。
2.図1の雇用形態は、勤め先の呼称による分類。
3.図3は、複数回答のため合計が100にならない。
4.図4は、現職雇用者のうち過去1年間に離職した者の前職・現職の従業上の地位を確率化したもの。90〜01年は各年2月の値、02、03年は年平均値、04年は1-9月期平均。非正規には、パート・アルバイト、派遣社員等が含まれる。
5.図5の派遣労働者は、「労働力需給制度についてのアンケート調査」における派遣労働者の月平均賃金のこと。その他は毎月勤労統計調査の定期給与。年齢、性別、勤続年数、労働時間など賃金に影響を与える要因をコントロールしていないことに留意が必要。


担当:参事官(経済財政分析総括担当)付 日野 力  直通:03-3581-9516


* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。



目次   前へ 次へ