今週の指標 No.589 目次   前へ 次へ 2004年12月6日


中国:外貨準備金の積みあがりとインフレ圧力について

<ポイント>

  1. 中国人民銀行は10月29日に9年ぶりに利上げを実施したが、その背景として「大量介入の副作用としてマネーが膨張し、インフレ圧力が高まったため」とする見方がある。外貨準備高とマネーサプライの伸び率を推移をみると、ともに昨年後半まで上昇傾向にあり、その後鈍化に転じている(図1)。
  2.  CPIについては、年初から上昇傾向にあり、6〜9月と総合指数が利上げのベンチマークとされていた5%を上回っているが、その内訳を見ると食料品と居住費(燃料等)がその伸びに寄与していることがわかる(図2)。デフレ傾向は脱出したものの前述の特殊要因による項目を除けば前年とほぼ同水準で推移しており、鈍化傾向にあるといえ10%台の伸びを示しているマネーサプライの動きとの整合性は確認できない。
  3.  他方金融機関貸出は9月時点でマネーサプライの約7割に達している。銀行貸出の約6割を占めるとされる中国4大商業銀行の不良債権比率は2002年末の26.1%から今年9月末の15.7%まで低下しているものの、その貸し出し量は増加しており、不良債権比率低下を意図した貸し出し増と見る見方もできる。さらに、マネーサプライは投資抑制措置により伸びが鈍化傾向にあるのに対し、外貨準備高の伸びはこのところ持ち直しの動きがみられることから、両者に明確な関係があるとは言い難い。また、外貨準備高とマネーサプライの間にはグレンジャーの意味での因果関係はみられないとする研究もある。なお、外貨準備高は2004年9月時点で5,000億ドルに達しているが、その3割程度が米国債の購入にまわっている。中国は日本に次いで米国債の海外における保有主体となっている(図3)。
  4.  以上から、外貨準備高の積み上がりのインフレ圧力への直接的な影響は限定的と考えられる。CPIは、食料品価格の落ち着きから、やや鈍化の兆しが見られるものの、PPIは、原油の高騰を反映して依然高い伸び率で推移している。過去においてPPIのピークからCPIがピークに達するまでの期間をみるとおよそ10ヵ月程度で、PPIがCPIに転嫁している傾向が見られる(図4)ことから、インフレ率については追加利上げの判断指標となることもあり、今後とも注視していくことが必要である。


図1:外貨準備とマネーサプライ残高の伸び率の推移 図2:CPIの内訳 図3:米国債海外保有分の国別内訳 図4:CPIとPPIの推移

担当:海外担当参事官付 茂野 正史  直通 03-3581-9537 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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