今週の指標 No.588 目次   前へ 次へ 2004年12月6日

台風被害による個人消費や設備投資への影響について

<ポイント>

  1. 9、10月の日本列島は相次ぐ台風の上陸に襲われた。台風による被害は、個人消費や設備投資を一時的に下押しする要因となったと考えられる。
  2. 個人消費については、(1)旅行、娯楽、レジャー等のサービス消費、(2)百貨店販売、(3)価格高騰を受けた生鮮野菜等、一部に影響がみられている。
  3. 家計調査を用いて、過去2年平均との対比をみると、レジャーや生鮮野菜等の減少は、消費支出全体の減少(02-03年平均対比▲0.6%)に対し、▲0.3%程度の寄与度となっている(表1)。また、販売側の統計をみると、百貨店販売額や国内旅行取扱額が過去に比べて減少幅が大きくなっていることがわかる(図2)。
  4. 設備投資については、7-9月期の建設業の名目雇用者所得が雇用者数、賃金双方の面から落ち込んでおり、建設活動が一時的に停滞していた様子がうかがえる(図3)。
  5. 建設業の名目雇用者所得は前年同期比で▲3.9%となっている。仮に、台風被害がなかった場合を想定して、雇用者所得の前年比が前期並み(▲1.3%)であったという大胆な仮定をおくと、供給側統計を用いたベースでは、設備投資は実際の値よりも0.5%程度高かったものと試算され、設備投資が台風によって一時的に押し下げられていた可能性が確認される(図4)。
  6. (注)設備投資総合指数やQEにおける建設投資の推計では、建設業の出荷として付加価値(雇用者所得)と資材投入を用いている。ここでは台風による資材投入への影響については考慮していないため、試算結果の解釈には留意する必要がある。


図1家計調査にみられる影響 図2百貨店、旅行ともに減少幅が拡大
図37-9月期の建設業雇用者所得が減少 図4設備投資総合指数
参考図9・10月の台風上陸個数
(備考)
  1. 表1は、総務省「家計調査(勤労者世帯)」、「消費者物価指数」により作成。
    品目ごとに対応するCPIを用いて試算した実質値。( )内は全体に対する寄与度。
    「スポーツ施設使用料等」は、「スポーツ施設使用料」と「他の入場・ゲーム代」の合計。
    なお、前年比の動きには、企業の販売戦略、消費者の嗜好の変化や、長期的なトレンド、前年の反動といった、他の要因も作用していることから、表記した値のすべてが台風による影響とは限らない。
  2. 図2の百貨店販売額は、経済産業省「商業販売統計」により作成。国内旅行取扱額は、大手旅行業者13社取扱金額により作成。   
  3. 図3は、総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。
    雇用者所得(建設業)=建設業雇用者数(労調)×現金給与総額(毎勤)。 名目季節調整値。   
  4. 図4は、実質季節調整値。実績値、試算値ともに、12月3日に公表された財務省「法人企業統計調査(平成16年7〜9月)」を用いていない。   
  5. 参考図は、気象庁資料により作成。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付
大熊 浩  直通:03-3581-9516 
石川 裕子 直通:03-3581-9516 

 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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