今週の指標 No.584 目次   前へ 次へ 2004年11月29日

輸入の増加により国内向生産は減少したのか?

<ポイント>

  1. 鉱工業における輸入浸透度を見ると長期的に上昇傾向にあり、輸入の影響が年々増加したことがわかる(図1)。輸入の増加は生産にどのような影響を与えてきたのであろうか?
  2. 輸入が生産に与えた影響を産業別に検証するため、平成元年を基準にとり国内向生産の伸びと輸入の影響(総供給の伸びと国内向生産の伸びの差)の関係を産業別にみる(図2)と、全体的に輸入の伸びが国内向生産の伸びを上回り、輸入の影響が多くの産業で増加した事が分かる。このうち繊維、精密機械では輸入による生産押し下げ効果が大きく、国内向生産が大幅に減少しており、輸入による国内向生産の代替が進んだと考えられる。貿易特化係数を見ても繊維、精密機械は共に減少しており比較優位が弱まっていたことが分かる(図3)。また、繊維を例に時系列の推移をみても、総供給の減少以上に国内向生産が減少しており、輸入による代替が確認できる(図4)。しかし、繊維、精密機械以外の産業では輸入以外の要因(例えば、産業構造の変化など)による国内向生産の変動も大きいと考えられ、多くの業種で経済活動が拡大している。
  3. また、鉱工業全体の生産等の推移をみると(図5)、輸入が大幅に増加した結果、総供給と国内向生産の乖離が徐々に大きくなっており、総供給が緩やかに増加しているのに対し、国内向生産は概ね一定の範囲で推移している。しかし、輸出も同じく大幅に増加しており、輸出の影響を考慮した国内生産を見ると概ね総供給と同じ水準で推移している。つまり、輸入による国内向生産押し下げ効果と、輸出向生産による押し上げ効果のバランスが均衡していると考えられる。
  4. 以上から、輸入が生産に与える影響は年々増加しているものの、国内市場拡大と輸出の増加により、国内生産自体は循環を繰り返しながら緩やかに上昇しており、貿易を通じた望ましい効果が実現されている。全体として見れば輸入が生産に与えた影響は限定的であったと言えよう。

図1鉱工業の輸入浸透度
図2国内向生産と輸入
図3貿易特化係数の推移 図4繊維の生産等の推移
図5鉱工業の生産等の推移
備考

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 中野 貴比呂 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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