今週の指標 No.582 目次   前へ 次へ 2004年11月15日

上昇傾向が鈍化しているパート比率

<ポイント>
  1. 毎月勤労統計調査の常用労働者数は、景気回復を受けてこのところ上昇傾向となっているが、それを一般労働者、パート労働者別にみると、本年夏以降、一般労働者は上昇傾向、パート労働者は減少傾向となっている(図1)。
  2. このため、パート比率(常用労働者に占めるパート労働者比率)はやや低下している。これをさらに産業別にみると、卸売・小売業、サービス業(この2つの産業でパート労働者の8割強を占めている)のパート比率が低下している (図2)。
  3. これまでのパート比率の上昇により、定期給与で見た賃金は、99年第4四半期期以降1%程度押し下げられていたが、04年第3四半期には、押し下げ分が縮小(0.6%程度の押し下げ要因)している(図3)。
  4. この背景には、景気回復に伴う企業の雇用動向の変化があると考えられる。内閣府企業行動アンケート調査(04年1月時点)によると、企業の雇用動向は、今後3年間は正社員の減少幅が縮小する一方、パート・派遣労働者の増加率は横ばいとなっている(図4(1))。産業別にみると、パート比率が高い卸売・小売業、サービス業でパート等の増加幅は縮小、正社員は増加に転ずる若しくは増加幅が拡大しており(図4(2))、これらの産業では今後パート比率の上昇が鈍化すると見込まれる。
  5. 経営状況別には、増収増益企業(02年度時点)においてパート等の増加幅は縮小、正社員は増加すると見込まれている(図4(3))。日銀短観等によると、景気回復を受けてこのところは増収企業、増益企業が増加しており、足元で企業が正社員を増加させる動きが続いていく可能性がある。一方で、04年前半までの大幅なパート労働者の採用増加を経て、一時的に採用を手控えている可能性もある。いずれにせよ、景気回復の動きが、一般労働者の雇用の増加を通じて、所得面でも家計部門へ波及していくことが期待される。

(図1)常用労働者の推移(図2)パートタイム労働者比率の推移
(図3)定期給与の要因分解
(図4)企業の雇用行動 (1)全産業(図4)企業の雇用行動 (2)産業別
(図4)企業の雇用行動 (3)企業の経営状況別


         (備考)
            1.内閣府「企業行動に関するアンケート調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成。

           2.図1及び図2は、調査産業計、事業所規模5人以上の常用雇用指数の季節調整値、3か月移動平均値を用いた。
           3.図3の計算式は以下のとおり。
            定期給与の変化=一般労働者の賃金変化要因+パート労働者の賃金変化要因+パート比率変化要因
           4.図4の増減率は年率換算値、経営状況は02年度のもの。
           5.毎月勤労統計調査の定義は以下の通り。
             常用労働者:a)期間を定めずに、又は1ヶ月を超える期間を定めて雇われている者
                                  b)日々または1ヶ月以内の期間を限って雇われている者のうち、調査期間の前2ヶ月にそれぞれ18日以上雇われた者
            一般労働者:常用労働者のうち、パートタイム雇用者ではない者。
                パートタイム労働者:常用労働者のうち
                                   c)1日の所定労働時間が一般の労働者より短い者、
                        d)1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週の所定労働日数が一般の労働者より短い者。


担当:参事官(経済財政分析総括担当)付 日野 力    直通03-3581-9516 

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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