今週の指標<No.581> 目次   前へ 次へ 2004年11月8日


タイ:消費拡大とクレジットカード

<ポイント>
  1. タイ経済は2002年以降、景気拡大傾向にある。2004年の実質GDPは1〜3月期が前年同期比6.5%、4〜6月期が同6.3%で、依然として高い伸びを続けている。特に生産の好調に伴う投資の増加と、消費の拡大が経済をけん引している(図1)。
  2. 消費拡大の背景としてクレジットカードの利用が増加したことが挙げられる。景気拡大による雇用や所得の増加、金融機関による個人向貸出の増加に加え、政府が内需拡大のために低金利政策とクレジットカード発行規制の緩和を行い、低所得者層にもクレジットカードが普及したことから、カードの発行枚数はこの4年間で急増した(図2)。
  3. 一方で、融資残高もクレジットカードの発行が増え始めた2001年以降急速に増加している(図2)。また、消費が拡大しているにもかかわらず可処分所得はあまり増加していないことから、貯蓄率は年々減少している(図3)。タイ政府はクレジットカードによる消費が過熱し始めた2002年から再び規制を強化しており、2004年4月には、新規会員の分割払い返済月額の引上げ(債務残高の5%→10%)や審査基準の厳格化等といった措置を講じた。しかし2004年4〜6月の発行枚数は引き続き拡大しており、規制の効果は今のところ現れていない(図2)。
  4. 今後については、過度のクレジットカード利用(割賦販売など)を防ぐための新たな規制が実施される必要がある。一方で原油高騰等を背景としたインフレ圧力から、政策金利が引き上げられており、景気の下方リスクの一つとされている(図4)ほか、このまま金利上昇が続いた場合のクレジットカードによる利払い負担の増加も懸念されている。


(図1)成長率と項目別寄与度 (図2)クレジットカード発行枚数と融資残高

(図3)可処分所得と貯蓄率の推移 (図4)政策金利と市中金利の変遷


担当:海外担当参事官付  山村 一夫  直通 03-3581-9537
 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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