今週の指標 No.577 目次   前へ 次へ 2004年11月1日

低い伸びが続く日銀券発行残高

<ポイント>

  1.  日銀券発行残高は、02年4月のペイオフ部分解禁(定期性預金についてペイオフを実施)の際に現金志向が高まり、03年初まで前年比を概ね10%を超える高い伸びを示した。その後、反動で鈍化し、最近では、金融不安の後退などから伸び率はさらに低下し、足元は1〜2%の伸び率となっている(図1)。
  2.  今後の日銀券発行残高はどのように推移していくだろうか。特に来年3月末のペイオフ全面解禁(普通預金についてもペイオフ実施)の影響との兼ね合いで先行きを占ってみたい。
  3.  金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」によれば、「現金で持ちたい」とする家計の比率は、2002年のペイオフ解禁前後に比べて落ち着いており、前回ペイオフ時のように急激に現金が増加する可能性は低いと思われる(図2)。このため、日銀券残高の伸び率は、現状維持かそれをやや上回る推移が続いていくのではないかと考えられる。
  4.  ちなみに、日銀券発行残高は、日銀の長期国債買切りオペ(月額1.2兆円)の上限となっているが、10月12日時点の保有国債の銘柄を元に試算すると、仮に銀行券発行残高の伸びが今後0%まで低下したとしても、2年半程度は、現行のペースで長期国債の買切りオペを継続することが可能とみられる(図3)。
  5.  なお、参考までに、銀行券の改刷(11月1日より新札を発行)の影響を考えてみると、前回の84年11月の改刷時では、直後に一時的な日銀券発行残高の上振れが若干みえるが、長期的には大きく変動しなかった。また、定期・普通預金の伸び率(平均残高)は、ほぼ横ばいで、まったく変化がみられなかった。こうしたことからは、今回の改刷により日銀券需要に大きな変化が起こるとは考えにくい(図4)。

図1.日銀券発行残高と伸び率
図2.ペイオフ部分解禁をはさんだ現金志向の変化
図3.日銀券発行残高と長期国債保有額の試算
図4.前回紙幣改刷時の預金と現金の伸び率

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 林 厚志 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ 次へ