今週の指標 No.575 目次   前へ 次へ 2004年10月25日

日本の中国向け輸出に影響を強めるアメリカ経済

 
<ポイント>
  1. 近年、アメリカ経済は高い経済成長を果たしている時期が多いにも関わらず、日本からアメリカ向けの輸出は伸び悩んでいる(図1)。アメリカ向け輸出金額とアメリカの経済成長率の関係をみると、2000年前後を境に、弾性値は低下し、アメリカ経済が成長しても輸出は増加しないという構造変化が生じていることを示唆している(図2)。

  2. この要因の一つとして、企業が生産拠点をアジア圏(特に中国)へシフトし、日本からは生産拠点へ資本財や中間財を輸出、生産拠点から最終財をアメリカへ再輸出していることが考えられる。その証左として、特に中国向け輸出が顕著に増加しており(図3)、中国に進出している日本をはじめとした外国資本企業の輸出入金額は、8月現在で中国の総輸出入金額に占める割合が6割近くに達するなど著しい増加をみせている(図4)。つまり、日本の中国向け輸出の増加は、本来、日本からアメリカ向けに輸出されていたものが振り替えられていることに起因する可能性が考えられる。

  3. 日本からの中国向け輸出が中国の内需により伸びているのか、あるいはアメリカや日本への再輸出により伸びているのかを検証するため、構造VAR(Structural Vector Auto Regression)モデルにより検証を行った(四半期ではデータ数が不足するため、利用可能な月次データで代替した)。Grangerの因果性検定の結果より、中国向け輸出には中国の内需のほか、日本とアメリカの内需が関係していることが分かる (表1)。

  4. 中国向け輸出に対する影響を見るために、アメリカ・日本・中国の内需にそれぞれショックを与え、累積インパルス応答を調べた。アメリカの内需にショックを与えると、日本や中国の内需にショックを与えた場合に比べて、より大きな影響があることが分かる(図5)。また、中国向け輸出のインパルス応答の変動に対し、各国内需のショックがどの程度寄与しているかを調べると、アメリカが50%以上と大部分を占め、日本と中国は10%以下となった(図6)。

  5. こうした分析結果は、一定の仮定に基づくものであることに留意する必要があるが、今後の我が国から中国への輸出動向を考える上では、中国経済拡大による中国の内需に比べアメリカ経済が相対的に重要であることを示唆している。

(図1)対米輸出数量と米国経済成長率
(図2)対米輸出金額と米名目GDPの関係
(図3)中国向け、アジア向け輸出数量の推移
(図4)中国に進出している外資系企業の輸出入金額

(表1)中国向け輸出と各国内需に関するGrangerの因果性検定

(図5)各国内需にショックを与えた場合の中国向け輸出の累積インパルス応答
(図6)中国向け輸出の予測誤差分散分解による相対的分散寄与率

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 藤本 和敬 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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