今週の指標 No.573 目次   前へ 次へ 2004年10月12日


英国住宅市場:5度の利上げを受け鈍化の兆し

<ポイント>
  1.  英国の住宅市場は2001年から活発な活動が続いている。住宅価格の上昇に伴う資産価値の増加を背景に、家計が積極的に借入を行い、家計の可処分所得に対する家計債務の比率が高まるなど、個人債務の増加が懸念されている。足元での消費者物価上昇率(8月1.3%)は、金融政策の目標(2.0%)を下回っているものの、将来的なインフレ圧力とともに過熱気味の住宅市場への懸念から、イングランド銀行(BOE)は、03年11月から5度(計1.25%)政策金利を引き上げ、4.75%としたものと市場関係者はみている。
  2.  5度の利上げを受け、住宅市場関連の指標に鈍化の兆しがみられる。9月の住宅価格上昇率は、前年同月比で19.7%と、04年3月以来の低い伸びとなった(図1)。副首相府発表の7月の地域別住宅価格は高額住宅地ほど価格上昇が緩やかになっており、都市部において住宅価格は落ち着きつつある(図2)。また、8月の住宅担保付貸付金額は、残高の伸びが鈍化し、住宅購入ローン承認件数も減少しつつある(図3)。
  3.  今後の住宅市場の見通しについては、このまま緩やかに沈静化すると見込まれているものの、今後の景気動向のリスク要因として住宅市場の急激な調整の可能性も残っている。9月末に発表されたIMFの秋季経済見通しのなかでも、住宅市場の急激な調整をリスク要因として挙げている。同報告書では、住宅購入のしやすさを示す指標として個人可処分所得に対する住宅価格の比率を取り上げている。その動きをみると、2003年の比率は1985年と比べて1.5倍まで高まっており、低金利などの経済条件では説明しにくいほど高い水準であると指摘している(図4)。


図1 住宅価格上昇率の推移

図2 地域別住宅価格と上昇率(04年7月)、図4 個人可処分所得に対する住宅価格の比率(1985年=100)

図3 住宅担保貸付残高と住宅購入ローン承認件数


担当:参事官(海外担当)付 金沢 早智子  直通03-3581-0056 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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