今週の指標 No.572 目次   前へ 次へ 2004年10月12日


低下傾向にあるユニット・レーバー・コスト

  1. 生産一単位あたりの労働コストを表すユニット・レーバー・コスト(Unit Labor Cost;ULC)は、マクロベースでみる場合には国民経済計算を用いて算出するが、今回、わが国におけるULCの動向を業種別に分析するために、生産統計等を用いた推計を行った。両者の動きをみると、98年後半以降概ねマイナスが続いており、とりわけ今回の景気回復局面では、過去と比較して下落ペースが大きくなっていることが分かる(図1)。

  2. これを、生産統計等ベースで業種別にみると、今回の景気回復局面において、初期の02年から03年前半には製造業のULCの低下が、 03年後半から最近にかけては、非製造業におけるULCの低下が、全体のULCを押し下げているものと考えられる。

    (1)製造業のULCについては、02年には生産性の大幅な上昇により前年同期比10%近い下落を示した局面もあったが、03年以降、賃金が増加に転じたことからULCの下落幅は02年に比べ縮小している(図2−1)。

    (2)非製造業のULCについては、景気回復初期の02年前半においては、主に賃金の下落からULCが低下しているが、その後は賃金の下落幅が縮まらないなか、生産性の上昇も加わって、ULCの下落幅が拡大している(図2−2)。

    なお、製造業の具体例として輸送機械工業、非製造業の具体例として卸小売業およびサービス業についても分析した(図3−1、3−2、3−3)。

  3. 直近(本年4−6月期)のULCは若干マイナス幅が縮小しているものの、ULCの低下傾向に当面大きな変化はないものと見込まれる。

    (1)製造業については、生産性向上がこれまで続いてきたことにより、生産性要因のULC押し下げ寄与が縮小する可能性があるものの、これまでの賃金要因の押し上げペースが生産性の上昇に比べて鈍いものにとどまっていることから、こうした賃金面の動きが続く場合、ULCが直ちに上昇に転じるとは想定しにくい。

    (2)非製造業については、賃金が相対的に低いパートタイム労働者比率が引き続き増加することが見込まれることから、賃金が下押し要因となって、ULCは引き続き前年同期比で低下を続ける可能性が高い。

    ULCはコスト面から物価動向に影響を与える要因の一つであり、今後とも注視していく必要があろう。


(図1)ユニット・レーバー・コストの推移

(図2−1)製造業におけるユニット・レーバー・コストの推移

(図2−2)非製造業におけるユニット・レーバー・コストの推移

(図3−1)輸送機械工業におけるユニット・レーバー・コストの推移

(図3−2)卸小売業におけるユニット・レーバー・コストの推移

(図3−3)サービス業におけるユニット・レーバー・コストの推移


担当:企画・経済対策担当参事官付 澄田 知子
(直通 03-3581-0947)

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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