今週の指標 No.569 目次   前へ 次へ 2004年9月27日


中国:再加速の動きがみられる固定資産投資



<ポイント>
  1.  2004年春頃から打ち出された過熱業種に対する投資引き締め政策を反映し固定資産投資の伸びは鈍化し続けてきた。累積ベースである公表値を単月ベースに試算してみると、図1の通り、6月以降の固定資産投資は再加速の動きを見せている。業種別では、鉄、アルミ、セメント、不動産といった投資抑制対象とされていた業種について、6月以降伸びが再び高まっており、これまでのような投資抑制効果が低下している。他方、中国経済のボトルネックとされている電力はこれまでの引き締め期間中も堅調に増加しており、引き締め政策が過熱業種中心に実施されてきたことが確認できる。

  2.  固定資産投資の伸びに対する業種別の寄与度でみると製造業に比べて非製造業の方が高い(表1)。6、7月では電力、交通運輸、不動産の寄与を合わせると、全体の伸びに占める割合は半分程度となっており、過熱業種の再加速の動きに重なる形で全体の伸びを押し上げる要因として作用している。

  3.  8月に入ってからは温家宝首相ら政府首脳からは一貫して「マクロコントロールの効果はまだ初歩的なもの」との発言があり、9月19日に公表された中国共産党第16期中央委員会第4次全体会議の総会コミュニケでも「経済に対するマクロコントロールを強化、改善」するとしており慎重な態度を崩していない。他方、引締め政策が過熱対象業種以外にも波及することによりマクロ経済全体としてのパフォーマンスが悪化することを懸念する見方もある。

  4.  マネーサプライや金融機関貸出残高(図2)をみると6月まで鈍化を続けており、過熱業種に対する引き締めが貸出残高に影響していることが分かる。しかし固定資産投資の再加熱の動きがみられる7月には貸出残高の伸び率の低下幅が縮小している。中国経済はその景気拡大を通じてアジア経済の牽引役を果たしてきた。こうした観点からも、当局の過熱投資に対する引き締め政策の基本姿勢も含めて、今後の固定資産投資の動向について注視していく必要がある。


図1:固定資産投資業種別の動向(単月ベース) 表1:固定資産投資業種別寄与(単月ベース) 図2:マネーサプライ及び金融機関貸出残高推移

担当:海外担当参事官付 茂野 正史  直通 03-3581-9537 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。



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