今週の指標 No.566 目次   前へ 次へ 2004年9月21日

経済全体の生産性の高まりによって下げ止まる潜在成長率

<ポイント>

  1. 9月10日に公表となった4-6月期の国民所得統計二次速報に基づき、潜在成長率の試算を行ったところ、潜在成長率の推移をみると、90年代後半に入って1%台で推移してきたが、足元では若干の上昇がみられる(図1)。そうした動きの背景について考えてみたい。
  2. 潜在成長率を「資本投入」、「労働投入」、「生産性(TFP)」の3つの要素で寄与度別にみると、
    (1)「資本投入」の寄与度は、1990年代以降低下を続けている。これは、企業の期待成長率の低下によって民間企業資本ストックの伸び率が90年代に入って鈍化していることによると考えられる(図2)。最近では、設備投資は増加しているものの、古くなった設備投資の除却も活発に行われており、民間企業資本ストックの伸び率は依然として低い。
    (2)「労働投入」の寄与度は、1991年以降マイナスの寄与が続いている。これは、労働力人口のピークアウト(98〜99年)等による潜在就業者数の減少や、時短等に伴う潜在労働時間の減少によると考えられる(図3)。
    (3)資本投入と労働投入の寄与度が低下しているのに対し、「全要素生産性(TFP)」は、1990年代以降低下が続いていたが、98年以降上昇に転じている(図4)。このTFPの上昇が潜在成長率を下支えしている様子がみてとれる。
  3. このように、潜在成長率の下げ止まりはTFPの上昇によるものであるが、これは技術進歩や生産効率の向上などを反映していると考えられる(ただし、TFPの推計において稼働率を完全には計測できていないなどの問題点については留意が必要)。ちなみに、今回計測した潜在成長率を用いて潜在GDPと現実のGDPとの乖離を示すGDPギャップの試算を行ったところ、ギャップは2003年10-12月期から04年1-3月期にかけて急速に改善した後、04年4-6月期では横ばいとなっている(図5)。

潜在成長率の要因分解
民間企業資本ストックの伸び率は鈍化 潜在労働投入は減少が続く
90年代に鈍化していたTFP伸び率は90年代後半になって反転
GDPギャップの推移

担当:政策統括官(経済財政分析担当)付 参事官(総括担当)付 前中 康志 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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