今週の指標<No.561> 目次   前へ 次へ 2004年8月30日


韓国:懸念される今後の景気回復の持続力

<ポイント>
  1. 韓国は、2003年第3四半期以降は外需主導型の景気回復を続けている。これには世界的な景気回復を背景にした輸出の大幅な伸びが大きく寄与している(図1)。しかし、先頃発表された04年第2四半期GDPでは、輸出の減速が見られる一方、消費は99年から導入された行き過ぎたクレジットカード利用優遇策に対する反動として生じた家計債務問題を反映して未だに低迷が続いている。
  2. 個人消費以外の内需項目を見ても、輸出増加に伴う民間企業設備投資の増加などを通じたGDPに対する押し上げ効果は小さい。海外向け輸出の好調を受けて生産の増加は続いているが、韓国の主力輸出品である半導体や情報通信機器では、部品や機械など日本などからの輸入中間財の比率が高まっているとみられる。韓国の設備投資(GDPベース)に対する資本財輸入の比率も近年上昇している(図2)。このため輸出や生産が増加しても韓国国内での中間財、資本財生産産業への波及効果は低い。GDPベースで見ても輸出、設備投資の増加のかなりの部分が輸入の増加により相殺されることになる。足下では民間機械受注の伸びが鈍化しており、設備投資そのものの先行きも懸念される(図3)。
  3. このように、低迷する内需に加えて原油価格の高止まり懸念などに対応するために、韓国銀行は、先日8月12日に政策金利を史上最低水準の3.75%から、3.50%に引き下げ、即日実施する処置をとった。また、政府は中小企業支援を中心とした約2.4兆ウォンの補正予算(GDP比約0.3%)を7月に決定するなどの対策をとっている。
  4. しかし、現在の韓国経済は家計債務問題が個人消費の抑制要因となっている一方で、輸出増加が中間財や資本財などの輸入を誘発する傾向が強いなどGDP成長率に対する引き上げ効果が弱い構造となっている。さらに、安価な労働力や、国内で頻発する労使紛争を避ける目的で、生産拠点を中国・東南アジアなどへ移転する企業が増加するなど、製造業に空洞化の傾向がみられることや、最近急上昇した原油価格の高止まり懸念などもあり、今後の景気回復の持続力については必ずしも楽観できない状況となっている。


(図1)電力の需給の推移

担当:海外担当参事官付
潮田 哲男  直通 03-3581-9537  

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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