今週の指標<No.553> 目次   前へ 次へ 2004年8月2日


中国:経済への影響が懸念される電力不足

<ポイント>
  1. 中国国家電網公司は、今夏のピーク時における不足電力量は3000万kwに達すると予測している。これは2003年末の中国の電力総設備容量3.8 億kwの約8%に相当する。今年は既に32ある省・市のうち、昨年の19を上回る24省・市で計画停電や電力使用制限などが行われており、一部では「給3停4」(1週間に3日電力を提供し、4日停止)が実行されている地域も出ている。
  2. 電力不足の原因としては、供給面においては電源開発計画が遅れている上に発電量の約8割を占める火力発電(図1)の燃料で ある石炭で需給が逼迫していることがあげられる。需要面では工業用が7割以上を占めるなかで(図1)、電力多消費産業、特に鉄、電解アルミなどの素材産業への投資が過熱(図2)し、こうした産業における電力需要が急増したことがあげられる。
  3. 電力消費と実質GDP成長率の弾性値(図3)は、98年以降上昇しておりエネルギー利用効率が低下している。2002年の弾性値(約1.5)を前提とすると、電力供給制約はGDP成長率を瞬間風速で5%程度押し下げる効果がある。仮に今夏に電力供給制約が無い場合には、現実の成長率を相当程度上回る成長となることを意味する。現在中国政府は、景気が過熱している一部業種に対して引き締め政策を実施していることを考慮すると、短期的に電力供給を増強することにより電力不足を解消することは、投資過熱作用があり、経済政策全体としての整合性を欠くことになる。
  4. 中国政府は今後発電所の建設を加速するなどの対応で2006年までに電力危機を回避できるとしてる。しかし経済全体の均衡を維持するためには電力供給能力の増強は中長期的な設備投資の速度、GDP成長率の動向など様々な要因に配慮しながら進める必要がある。


(図1)電力の需給の推移

(図2)全工業と素材産業の固定資産投資増加率の推移 (図3)電力消費量と実質GDP成長率の弾性値

担当:海外担当参事官付
茂野 正史  直通 03-3581-9537
山村 一夫  直通 03-3581-9537

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


目次   前へ 次へ