今週の指標 No.549 目次   前へ 次へ 2004年7月20日


ユーロ圏:利上げ圧力が高まるなかで、難しい舵取りを迫られるECB

<ポイント>
  1.  ユーロ圏の政策金利は、2003年6月に戦後最低の2.00%となって以来据え置かれている。一方で、経済回復による物価上昇圧力などに対応するかたちでイギリス、スイス、アメリカ等はすでに政策金利を引上げている(図1)。ユーロ圏でもHICP(消費者物価上昇率)は原油価格が上昇したこともあり、2004年第2四半期は物価安定基準の2%を上回って上昇した(図2)。原油、食料品等の価格変動を除いた物価上昇(コア)は安定しているものの、欧州中央銀行(ECB)もインフレへの警戒を高めている。
  2.  ECBが利上げに対して慎重になっている理由としては二つ挙げられる。第一にドイツの景気回復の遅れもありユーロ圏の景気回復が世界的な回復基調に比べて緩やかなものとなっていることが挙げられる(図3)。ユーロ全体として未だに内需主導の自律的回復局面に入っているとは言い難い。第二にユーロ圏内の経済にばらつきがあることが挙げられる。フランス、スペイン等では好調な個人消費を中心に景気は回復しているものの、ドイツ、オランダ等では内需拡大の遅れから景気回復は緩やかなものにとどまっている。
  3.  さらにマクロ面での景気調整政策についてみると、ユーロ圏という仕組みのもとで金融政策により景気変動を微調整することの難しさが増している。ユーロ圏では各国ごとに景気局面に違いがあり、また、インフレ圧力にもばらつきがある(図4)。したがって、各国の景気局面が異なる状況で金融政策として一元的な政策金利を変更することにより、緩和・引き締めの方向を転換することは難しくなる。こうした厳しい条件の下での適切な舵取りがECBには求められている。


図1 政策金利の動向  図2 ユーロ圏のインフレ率の動向

図3 ユーロ圏の実質GDP成長率  図4 ユーロ圏各国の経済状況のばらつき


担当:海外担当参事官付  小清水世津子  直通 03-3581-0056 

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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