今週の指標 No.535 目次   前へ 次へ 2004年6月7日

なぜ2003年の民間企業設備デフレーターと国内企業物価の動きは乖離したのか

<ポイント>
  1. 2003年には、国内企業物価の下落幅が縮小する一方、GDPデフレーター、特に民間企業設備デフレーターの下落幅が拡大した。
  2. このような指数の乖離は、カバレッジ(対象とする財・サービスの範囲)の違い(表1)に加え、指数算式の違いによって生じる。そこで、国内企業物価、民間企業設備デフレーター、投資財(企業物価の一部で民間企業設備デフレーターに近いカバレッジを持つ)を比較すると(図1)、まず、国内企業物価と比較して投資財の下落幅が大きくなっていることから、カバレッジの違いにより指数が乖離することが言える。しかしながら、それだけでは、2003年に入り、国内企業物価、投資財の下落幅が縮小する一方、民間企業設備デフレーターの下落幅が拡大したことは説明できない。
  3. 国内企業物価、投資財は、基準年のウェイトを用いるラスパイレス算式、民間企業設備デフレーターは各年のウェイトを用いるパーシェ算式で計算されている。そこで、算式の違いの影響を見るために、民間企業設備デフレーターを擬制して、国内企業物価の内、価格下落の激しいIT関連財を含む一般機器、電気機器、輸送用機器、精密機器を総合した指数をラスパイレスとパーシェで作成し、両者を比較した。(図2)すると、ラスパイレス指数の下落幅が縮小していく一方、パーシェ指数は、2002年に下落幅が縮小した後、2003年には再び下落幅が拡大した。
  4. こうしたことが起こるのは、指数算式の違いを反映して、
    (1)価格が下落している局面では、ウェイトを固定したラスパイレス指数には価格が下落している品目のウェイト変化が反映されないのに対して、パーシェ指数では、価格が下落している品目のウェイトがその分だけ増大し下落が大きくなったのに加え(備考3)、
    (2)2003年には企業のIT投資が回復したため(図3)、IT関連財のウェイトがそうした面からも高まり、それがパーシェ指数の下落を大きくしているためである。
  5. このように、2003年の両者の動きが乖離した一因は、そもそもカバレッジが異なることに加え、指数算式の違いを反映して価格下落している品目のウェイトが増大し、企業のIT投資の比率が高まりウェイト構成が変化したためと考えられる。


表1.各物価指数のカバレッジ(対象とする材・サービスの範囲)


図1.民間企業設備デフレーター、国内企業物価、投資財の推移図2.民間企業設備デフレーターを擬制して作成したラスパイレス、パーシェ指数の推移

図3.指数に占めるIT関連財比率
(備考)
  1. 内閣府「国民経済計算」、日本銀行「国内企業物価」、経済産業省「機械統計」より作成。
  2. 指数を作成する際、国内企業物価と機械統計の主な財を比較して、合致したものを採用した。また、ウェイトは機械統計の生産額より求めた。
  3. 4.(1)をより詳しく説明すると次のようになる。
パーシェ指数は、基本的に名目額ウェイトで計算される。しかしながら、仮に、名目額ウェイトを価格で割った実質値ウェイトで考えると、価格下落が大きい品目の実質値ウェイトは大きくなり、その分だけ下落が大きく出る。
また、価格下落が大きい品目では基準年から離れるほど実質値ウェイトが大きくなり、その分下落が大きくなる。
よって、基準年の違いによって指数の動きに乖離が見られることにも注意が必要である。




担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 岡崎 敏彦  直通 03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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